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かくいう私も青二才でね

知ってるか?30まで青二才でいると魔法が使えるようになるんだぜ?

【ネタバレ注意】映画「SCOOP!」は面白いけど、内容がゲスくて福山雅治じゃないと成立しない…

映画の話 映画の話-邦画

SCOOP!見てきた。

映画『SCOOP!』公式サイト

 

僕はすごく好きな映画だが、この映画を多くの人に見て欲しいとは思えない。

 

特に演出や役者を重視して見る人にはオススメ。

ただし、ストーリーや世界観は昭和そのものだから、感動したい・癒やされたい人…それもその時代に嫌な思い出がある年配者が見ると、この映画は相性が悪いだろう。

論理的で理にかなった伏線と伏線回収、元ネタがちらつくようなオマージュなど映画のストーリーは緻密で理の通った作り。
だからといって、泣ける・楽しくなるかどうかは別問題なのよね…。

あらすじ

福山雅治演じるフリーの中年パパラッチが、写真週刊誌「SCOOP!」に配属された二階堂ふみ演じる新人記者とコンビを組むことに。

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(画像は公式HPより) 

 

パパラッチに借金があることにつけこんで、旧友でSCOOP!の副編集長がゴリ押しして作った急増コンビだったが…なんと、大当たり!!

 

取材で成果をあげるごとに雑誌の売上も、本人がやる仕事も大きくなっていく。

 

「危険球」としか言いようのない大暴投の連続!!

悪い意味で、昭和臭い(世界観で描かれる)映画。
本当にこんな生活してる人がいたり、こんな働き方を押し付けられたら「パワハラ」で「セクハラ」で「ブラック」。

 

ましてや、電通という「日本のトップ企業で若い女性が、過労と上司のパワハラと野蛮な企業文化のせいで、過労死した直後の時期に上映した映画」ではないよ!!

・粗暴でパワハラ・セクハラを言いまくる上司
・終電がすぎても働かせたり、法に触れたり暴力の危険もある仕事
・宴会のシーンになると女の子に半裸の男が迫っていく描写がある

そういう映画がウケないのは必然だ。時期もテーマも悪すぎた。

 

でも、映画のコンセプトそのものが「不謹慎上等」で作られているからこれらの批判は折り込み済だろう。

 

例えば、映画の予告にもパパラッチが

じゃあ、文春にでも持ってくかな

と口にするシーンもあったり…。

(文春については文春砲ってなに?2016年の文春砲を一覧にまとめてみた を参照。映画を作っているその時期はちょうど週刊文春が強気に出ていた時期)


『SCOOP!』予告

 

 あるいは、映画の終盤には、川崎市中学1年生生徒殺害事件をパロディした内容も含まれている。(事件について語ると映画のネタバレになっちゃうから割愛するけど、映画を作ってる時期にちょうど「これ!」という事件が起こっています。)

参照:川崎市中1男子生徒殺害事件 - Wikipedia

 

不愉快な要素でやりたい放題。 

それも、生々しく、下品に、しかも最近の人でも知っている最新のネタをえげつないほど盛り込んでくる。
…見る人が見たら、ひどい映画だと思うよ?

 

だから「みんなに見てほしい」なんかとても言えない。
でも、「分かる人」には見てほしい映画だから、これを書いている。 

 

みんながプロ野球選手になれるわけじゃないが、イキザマを貫くことはできる

すごくお下劣な映画のように見えて、むしろ誰もが悩んでいるような「等身大のテーマ」としっかり向き合えているところがとても良かった。

 

…いや、ゲスでろくでもない人間を描いているから、そういう人が大事にしているイキザマや「何も悩んでなさそうに見えて実は悩んだ末に今の生き方を選んでいる所」がこの映画の肝!!

倫理や決まりや世間体をぶち破った先に今の自分と、表現したかった自己があるからこそ踏み込んでいく「男のイキザマ」が、あんな酷いやつにでさあるところがいい!!

 

独りよがりにも迷惑に見えるため、世の中には認められないかもしれない。でも、彼のイキザマに感動できるぐらいに偏った美学にかっこよさを見いだせる人は

「そうそう、なりたい自分・なれる自分と言うのはみんながみんな、一流企業のサラリーマンやプロ野球選手じゃないんだよパパラッチかもしれないし、ブロガーかもしれないし…もっと世間様、親御さんに言えないような仕事でしか自分を表現できない可能性だってある。

おくりびとや、SCOOP!は生々しさを描きたい作品ではなく、【自分として生きられる世界、自己表現の場所がたまたま生々しい世界だった】だけ!!」

 

映画で描かれてるようなことは自分がろくでもない仕事や、人から悪く言われるような日陰者なジャンルで頭角を現した人間ならみんな知ってるよ?

 

でも、それを映画にしようとすると、

「何をやってもかっこいい人」

それこそ福山雅治のような人じゃないと、ゲスさばかりが際立って、イキザマを貫こうとする主人公のカッコよさが際立たない。

 

たとえ、ゲスでセクハラな上司でも、それが福山雅治という超絶イケメンが演じれば、その仕事やイキザマ人間がかっこ良く見えてしまう…これが「映画の魔力」だよ! 

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 (画像は公式HPより)

キーワードは「イキザマ」。

これを意識した上で、ラストシーンまで見てほしい。

言ってる意味がキチッと回収される作品になっているし、そこまで含めての「福山雅治」だから。

 

二階堂ふみのウザ演技/リリー・フランキーさんのクズ演技

福山雅治じゃないと演じられない役柄ではあるものの、「福山雅治ありきのアイドル映画」だと思われるのも癪だから福山雅治以外の魅力もいくつか語ろう。

 

二階堂ふみの演じる勘違い女は本当にうざくて、すごい!! 

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 FUMI NIKAIDOU Official Web Site - 二階堂ふみ

 

関連画像を二階堂ふみのホームページに探しに行ったらものすごくタイムリーな画像があったから掲載しておこう。(10月8日のプレイボーイでぶち抜き36ページの時の画像だそうです)

 

偶然にも、SCOOP!を見る前に見た「何者」という映画にも二階堂ふみが出てきていた。

 

何者では主演ではなく、むしろ「(意識高い系っぽい)勘違い女」を演じていた。

SCOOP!でも序盤には(きゃりーぱみゅぱみゅ風)勘違い女を経て、終盤にはまともな役をうまく演じている。

 

僕は長い時間会社にいたことのある人間じゃないからわかんないが…きっとアラフォー以上のおじさん、おばさんからみた若者ってあのぐらいウザいし、あのぐらい勘違いしているんだろうなぁ…という鬱陶しさをキチッと演じているところがすごかった。

 

邦画ではウザキャラは重要な役。
邦画には、一般論と異なる価値観を説く作品が多く、そういう作品にはウザいほどの一般論をいう人が必ず一人はいる。
一般論役が弱すぎると映画としてゲスくなって、一般論が強すぎると説教臭くなおかつ浅い世界しか描けなくなりがち。

 

二階堂ふみが一般論をいう鬱陶しいキャラクターを演じている時はついつい見入ってしまう。
そんなシーンが何者でもSCOOP!でも多かったので、「この役者さんはすごい」と思って、名前を覚えてしまった。

 

印象に残っているシーンを1つだけ触れる。
SCOOP!では新人記者であると同時に、俗物的に芸能人をキャーキャー言う人や、芸能人に勝手な妄想を押し付けてるファンの代弁者の役割も兼ねた台詞が序盤に集中している。
その若者の世俗的な価値観の押し付けに対して、福山演じるパパラッチが

「同僚と飲みに行って、発散して、仲良くなることもあると思うけどなぁ…」

という旨の発言をする。


今思えば、この台詞からして仕事に貴賎を付けたがる世俗とは芸能人もカメラマンも別だから「一緒にしないでね」「そんな僕達も生きているんだよ」というメッセージのこもった台詞だったのかもしれない。

 

 

今思えば、このシーンこそウザキャラでもあり状況に応じて細かく変化する二階堂ふみの演技の魅力と、福山演じる中年パパラッチが職業への貴賎・偏見が極端に少ないことを示すこの映画がどういう映画化を如実に表した大事なシーンだったのだと思う。

実際に見るとささいなものだが、この映画で描きたいものが最も切り取られている作品だと感じた。

 

リリー・フランキーさんと福山雅治の関係は映画にも投影されてます

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(公式HPより)

 

芸能ニュースも週刊誌も殆ど見ない不勉強な僕は、映画を見終わってから福山雅治リリー・フランキーがプライベートでも仲良しなことを知った。

 

そのことを知った上で映画を見ると、チャラ源はサイドストーリーの主人公というか…仕事の顔とはまた別の方向からパパラッチを映し出そうとしているキャラだともっとわかりやすく理解しやすいキャスティングになっている。

 

リリー・フランキーさん演じる情報屋の「チャラ源」はパパラッチ以上のクズ。
記者仲間から「あいつとは縁を切れ」としょっちゅう言われるけど、チャラ源とは仲良くし続ける。

 

パパラッチ本人もパパラッチの仕事を「ドブネズミやゴキブリ以下だ」と言ってるが、それをビジュアルに落とし込んだようなキャラとして出てくる。
けっこういいやつでもあるんだけどね…。

 

 ハゲ散らかしていて、小汚くて、オシャレとは無縁の服装…絵に描いたような「女性が生理的に受け付けない(きっと偏見の目で人間としてカウントしないであろう)」キャラ。

 

ただ、この人がいることで…「パパラッチのイキザマ」以外にも、「パパラッチという偏った仕事でしか生きられない偏ったヤツの私生活でのイキザマ」も描く事になるんだよ。

 

職業選択もさることながら、自分の友達もまた「まともな人」「キレイな人」「健全な遊び」で満足できるとは限らない。
そうじゃないと許されないかのように世の中は変わった人間を排除したり、偏見から来る心ない言葉を浴びせるけどさ…。

特にもっと金のかかる・健康によくない・悪友を引き寄せるような趣味ならなおさらだろう。

 

でも、そういう人にもイキザマはあって、クズだと言われ続けても大事にしていることやその人を大事にしてる理由はある。
この映画は友情でも、仕事でもそういう人の話。

 

世の中から肯定される・されないではなく、「自分にはこういう生き方が一番だから」と言って、そう生きるイキザマの話。

公私問わず、そういうものを貫いて生きるパパラッチを、福山雅治が多少なりかっこ良く演じてくれることでどうにか見られる作品。

 

…福山がすごいから成り立つ映画だよ?

でも、福山以外のキャスティングや演技、ただの下ネタや悪趣味な遊びにしか思えぬ台詞が実はキチッと意味を持って回収される奥深さがあるからこの映画は面白いんだ。

 

 

 

 

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すごくよかったです。テーマ的に近い作品だからScoop好きな人にはオススメ。