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かくいう私も青二才でね

知ってるか?30まで青二才でいると魔法が使えるようになるんだぜ?

マンガ「西荻窪ランスルー」はアニメに携わる人達のイキザマの話です!

マンガ棚

女流マンガ家が描く「やたらとイモ臭い女の子の主人公」が好物だという話で盛り上がる(男同士の)飲み会をやるなら僕はこの本を持参したい!…そんな作品です。

 

西荻窪ランスルー 1巻  

 

大げさに思えるかもしれないけど、男のオタクが自分の(オタクとしても、リアルな人間関係の意味でも)守備範囲を広げたかったら、こういう作品を読んだほうがいいよ。

アニメの製作現場 を極力普通の職業モノとして描こうとした作品

正直言って、アニメの製作現場のことを知りたいならもっと別の作品を選ぶべき。

取材した上で書いているので、ウソや間違いはないだろうけど、製作現場やアニメーターのお仕事そのものを紹介するマンガではないから、その部分を期待している人は読まないほうがいい。

 

薄給で、
才能に左右されて、
離職者がすごく多い上に
労働環境が劣悪なことが当たり前

そんなアニメ制作会社での仕事を生業とする人達の仕事よりも、その人間味にスポットを当てた作品を描いている。
そんな仕事を無理やり続ける時点で、キャラが濃ゆかったり、よりイキザマがムキダシに描けるであろう特殊性を活かした作品。

 

そして、それを描く上で、
作者がキチッと女性の作家で、男性作家やオタクが見落としがちな部分に触れに行ける作風が、グサッと刺さるからいいなぁ〜

と、感じてこの作品を紹介してる。

 

「みんな不器用だし、みんな一生懸命生きてる」

男のオタクであれ、作家であれ「憧れ」と「文脈(記号)」で女の子を語りすぎ。

これは男から見える女性像の限界でもあり、あんまり議論したくないことに目をつむる防衛本能でもあるけど…そういうものばかり見てると、女の子に過度な期待をするか、過度に怖がるかするから…。
正直言って、偶像崇拝
そして、できすぎてること自体に食あたり気味。

 

そういう意味でこのマンガはすごかった。

主人公の芋臭い女の子も含めて、色んな人間を「みんな不器用で、でも一生懸命生きてること」が伝わるように描こうとしてる。
人当たりがキツい人・他人から悪く言われる人まで悪く言うだけではなく、その人なりに考えたうえでの振る舞いであることを、描いて「等身大」な部分も描いている。

 

性格や性分として「ワルモノになってしまう人」を描いても、物語上の安直な悪役が出てないから、どのキャラにも感情移入できるのがすごい!

不器用さとか、まっすぐさとして「キツくなってしまう」「そっけなくなってしまう」人間を描いているから、憎みきれない感じ、普段怖いと思っている人や苦手と感じるタイプの人にも感情移入できる感じが良かった!

 

まさに絶妙な塩梅!

例えば、美少女でやると「短所はかわいいと笑えて、長所は自分にないすごいものを」と行き過ぎてしまう。

 

でも、「芋臭い女の子」を描けている作家は行き過ぎないで、うまくかわいいだけじゃない短所、キレ方、でも女の子の姿をした男子中学生みたいに泣きそうな感情で安易にボロボロ泣かずに、トイレや屋上でシャウトしたり、隅っこにしゃがみ込んでしまう。

そこに「生々しさ」が感じられて、萌えとはまた違うかわいさ、不器用さを表現するところが好きになれた。

「芋臭くて」「生々しい」から女の子はかわいい

きっと「芋臭い」とか、「血の通った感じ」とか、「生々しい」と表現するのではなく「リアル」というのがスマートでキャッチーなんだと思う。

 

でも、僕は積極的に「女性だから描ける女性」みたいなものは「イモ臭さがいいよね」「生々しくて、真っ直ぐな感じがする」というようにしてる。

 

極端に人を美化したり、過小評価したり、おっかなびっくりしたりすることなく人の実像に迫っていこうとすると、みんな大したことないし、みんな不器用だし、みんな真面目に生きてる…みたいなごく当たり前の結論に至ったりする。

 

それをフィクションの世界でバランスよくやろうとするのは難しいし、下手をすれば必要すらない。
なぜなら、それが「できること=すごく面白いもの」はではないから。むしろ、バランスが取れすぎて、ツッコミどころや突出した魅力が表現できないことでつまらなくなってしまうことも多い。

 

この作品もまた、見る人次第ではバランスが取れすぎて面白くないのかもしれない。

痛快でもないし、アニメーターの話なのにそこに詳しく慣れるわけでもなきゃ、熱い気持ちにさせてくれるような話でもないから。

 

ただ、一生懸命生きてる人の、不器用さや真っ直ぐさを見てると、優しい気持ちといいますか、人を簡単に嫌ったり恨んだりできない気持ちになるというか…そういうわかりにくいものできてる。 

 

女性が描いた女性らしいイモ臭さもさることながら、男性は男性で不器用な部分を抱えて描いていてその部分自体が萌え要素なのではなく、イキザマとして、一生懸命さがつたわるものとして受け取れるのが、このマンガのよさであり、それがわかる人に読んで欲しい作品だと思った。

 

 

説明するのが難しい作品だし、人を選ぶことを覚悟して読んだほうがいい作品だと思う反面、「こういう価値観で漫画を書く人が増えたらオタクも世の男性も変わるだろうなぁ〜」という考えさせられる作品。

 

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「ハッピーシュガーライフ」ほど、本質的で正直な愛の物語を読んだことがない!! 

 逆に、「男の人が描いたであろう完璧な女性、二次元的なほどよくできた美少女」の局地がこの作品なんだと思う。もっと生々しさが「等身大」ではなく、グロテスクな方に作用してるから、違う意味で人を選ぶ作品。