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かくいう私も青二才でね

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アニメの制作進行から学ぶ、危機管理/危機予測の鍛え方

アニメ 読書日記

・はじめに

この記事はアニメファン以外にこそむしろ読んで欲しいので、敢えてアニメの話はほとんどしません!その観点から「労働としてのアニメ制作」を書いた本を語りたい。

 

リスクを回避するために敢えてしんどい道を選ぶこと

読んだのは「アニメを仕事に トリガー流アニメ制作進行読本(著:舛本和也)」だ。

アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本 (星海社新書)  

本としては「大真面目に制作進行・アニメに携わる仕事をしたい人・していく人向け」の内容であるため、辛辣な内容で「こんなこと仕事に入って2年で求められてもできるわけ無いじゃん!」と呆れるような本だった。

 

実際、あとがきにも3年後の業界滞在率が10~20%と説明され、そんな激務を10年以上もくぐり抜けてきた筆者がどんないい思いをしてるかというと家賃5万円の家に住んでるというから「そりゃ続かねーよ!」という気持ちになった。

 

しかも、続けるだけでもツラすぎる激務に「制作進行の人でも、シナリオを読もう」「眠くても、色んな感覚を養うべく作業してる現場に寝ないで参加しよう」

と…半ば無茶ぶりに思えるようなことを(実際、著書自身が制作進行が必ずしもしているわけじゃないと触れてることを「すべきだ!」と)ズカズカ書いてあるから恐ろしくなる。離職率の高い業界で、敢えてキレイ事抜きであれもしろ、これもしろと「輪をかけて激務に飛び込め」という内容なので想像しただけで胃が痛くなった。

 

 

そもそも、アニメファンから見れば、アニメ制作ほど怖い仕事がないのは有名な話だ。が、一般にはどのぐらい怖いか知られてないから、去年起こった労災を紹介しよう。

アニメ制作で過労自殺 カルテに「月600時間」 28歳男性、労災認定 

これはマイナーな三流企業の話ではない。宇宙兄弟七つの大罪シリーズなど一般の人にも目に触れる機会の多いアニメを作ってるA-1Picturesで起こった事件だ。

 

眼を見張るのは「月600時間」という勤務時間だ!

あらゆる労災がマスコミで報道されてるが、600時間と言う時間は異例!あまりにも異例すぎて「月600時間」と検索すれば、この事件が出てくるほど異例なのだ。

 

もちろんアニメの制作進行みんながみんな600時間働いているわけではない。

だが、「状況次第では月600時間働かないといけないほどの地獄が存在する」のがアニメ制作の仕事で、そんな仕事だから3年持てずに人が逃げてしまう…という他業種ではなかなか見られないワンダーランドな激務ぶりをまずはわかってほしい。

 

では、なぜそれほど激務の中で、読まなくても仕事が成立するシナリオを読めと言い、アフレコや編集は見に行け…と仕事を増やすようなことをわざわざ筆者が書いたのか?

それは生き死がかかるほど多忙な状態になるからこそ、制作進行は危機管理能力に特化していないと生き残れないからだ!

 

ましてや、「アニメを仕事に」の著者舛本和也さんのように、6年間という業界でも長めの制作進行の経験を持つと常に不測の事態・仕事が増えることを先読みする。

そして、その力を仕事の中で鍛えてほしいから敢えて辛辣で仕事がかさばるような厳しいことを書いてる書いてる。

 

600時間の作業…は極端だとしても、そうなる前に未然に回避したり、仮に回避できなかったとしても受け身を取れていれば少しは楽になれたかもしれない…。そういったテクニックが記された書籍が「アニメを仕事に」なのだ。

 

また、なぜここまで激務になるかというと…「予定通りに行かない」からだ。

著書に口酸っぱく言う。アニメ製作が順調に行くことなんかほぼない!と。

 

アニメに限ったことではないが、クリエイティブな分野は不確実要素が多すぎる。

クリエイターのマンパワーで支えられてる部分、携わる製作者や企業の多さ、それらの毛並み(目的意識や主張)の違いの中で作られるのだから、食い違いややり直し…ヘタすれば制作進行自身のミスから生じる遅れなども出てしまう。

 

制作進行の巻き込まれるトラブル・自身が撒いた種であくせくするさまはアニメ「SHIROBAKO」がわかりやすい。ダメな制作進行とまともな制作進行が同じ会社で一緒に仕事をしてるので、比較しながら見ることができる。

SHIROBAKO 第2巻 (初回生産限定版) [Blu-ray]  

 

ただ、アニメの実務の流れをもっとしっかり見たい・具体的な問題を解決したい・他のビジネスに危機管理の考え方を応用したいと言う人には「アニメを仕事に」をおすすめする。

 

他のビジネスに応用がとても効くよ?何しろ、先々の危機が想像できてない仕事をすると、こんなふうになるからね…。

 

人選にも危機回避にも進行役のセンスが光る

読み終わった次の日にこんなニュースが飛び込んできた。

「新国立競技場は建てちゃダメです」戦後70年の日本が抱える"リフォーム"問題とは

 

このリフォーム問題の最大の原因が、なんともアニメ制作の話と重なる。

まず、リフォームの最大の問題は「審査員安藤忠雄さん、コンペの優勝者ザハ・ハディド氏の人選ミス」だそうだ。

何でも、彼らの作家性が外苑との風景の調和や、完成させやすい建築物を作る・見定めることに全く向かない人を選んだから、今現場が混乱しているのだという。

 

どのぐらい完成させにくいかというと、こんなまとめが作られるほどだ。

すごすぎて建築できない建築家【ザハ・ハディド】まとめ 

 

この辺りの成り行きがアニメの制作進行そっくりだ。

アニメーターに仕事を割り振るのも制作進行の仕事であり、完成させるために尻を叩くのも仕事、完成した原稿を届けて修正やその後のスケジュールを防ぐのも、仕切るのも制作進行の仕事。

 

だから、アニメーターの作風(得意分野)を理解していないと制作進行はしんどくなり、あらゆる作業についてのセンスを養っておかないと大きなやり直し、予定のズレを予想して動くことができない。…またセンスを鍛えておくことで、窮地でもやりがいを見出して頑張り抜けたり、早め早めに違和感を相談しておくと大きなタイムロスになる前に、テコ入れできることもあるそうだ。

 

だからこそ、舛本氏は「アニメの制作進行はキツくてもセンスを養わうべく、作ってる現場を見に行く・参加しないといけない」「シナリオや絵コンテを見て、首脳陣のやりたいことをしっかり把握しないといけない」と説くのだ!

 

危機回避の能力がない・クオリティを上げるための人脈・センス、何より目的意識の共有ができてない人が仕事を仕切るとどうなるか?

人選のミス、指示や目的を伝えきれないことによるやり直し、プロジェクト全体が新国立競技場のように遅れ、終いには瓦解する。

 

クリエイティブな仕事には沢山の人が携わり、絵を物にし、物をカネにすべく奔走している。

 

一連の流れをつなぎ合わせる制作進行の技術はトラブルの回避・クオリティを上げるための人選や環境づくりなど多岐にわたる。

 多岐にわたるからこそ激務であり、多岐にわたるからこそ役得も多く鍛えられる。

 

…さすがに600時間はやり過ぎだが、異常な激務をしないための回避術を持ってない制作進行はデスクやプロデューサーになってアニメに関わり続けることはできない。

 

にもかかわらず!それだけの技量があるにも関わらずだ! 

 

作画スタッフのようにアニメファンには名前を覚えてもらえず、給料もそんなにもらってないから筆者でさえ5万円の部屋に住んでる黒子の存在が制作進行だ!

 

制作進行含め、本当にアニメの仕事は待遇改善されないかな?

仕事の技術としても、アニメというエンタメにしても、もっと評価され、お金になってもいい分野だと思うんだけどなぁ…。

 

 

より細かく、身を守る術を学びたい人は是非読んでみてください。活字少なめで、貴重な資料をたくさん公開してるので、本を読むのが苦手な人も読みやすい。

 

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