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かくいう私も青二才でね

知ってるか?30まで青二才でいると魔法が使えるようになるんだぜ?

なぜ「やりがい搾取」は起こり続けるのか?

オピニオン

どうにもこうにも、こんなニュースが話題になってた。

韓国の2014年の流行語は「熱情ペイ」「IKEA世代」

ここで扱われている「熱情ペイ」とは日本で言う「やりがい搾取」のことだ。

 

熱情は情熱、ペイは支払いのPayで「情熱があればお金なんていらないだろう?」と労働力を買い叩く企業を皮肉った言葉である。またIKEA世代と言う言葉もまた韓国の若者が使い捨ての粗雑な家具を「長く使う気がない人が安価に買い叩かれる若者」と引っかけて生まれたそうだ。

 

ややこしいのは楽しい仕事に対して多く使われる印象があること。

確かに楽しそうな仕事・趣味が講じる仕事で起こりやすいが、むしろ業種に関係なく「不当労働や余分な仕事・接待を楽しいと言わせて、それを理由にお金を払わないこと・長時間人を突き合わせるのを正当化してる」企業体質を批判する言葉がやりがい搾取や熱情ペイである

 

日本にもやりがいばかりを売りにして、給料や労働者の権利をないがしろにする会社や経営者を批判する「やりがい搾取」と言う言葉が昔からあった。

でも、マスコミの関心が恐ろしく低くネットを使わない人からは知られていない。

 

ネットと社会学者の間では「やりがい搾取」という言葉は知られてる。

言葉自体は本田由紀さんというれっきとした社会学者が提唱した概念であり、ネットスラングではないため、一般紙で扱っても全く恥ずかしくないはずだ。

 

ところが、ネットで検索してみると驚くほど扱いが酷い。

 

Wikipediaの記事すらなく、マスコミでも取り上げられないから検索してもイケダハヤトさんのブログやはてなキーワードがトップに来る。

 

ビジネス系ニュースサイトは少し出てくるが、ほとんどの記事のブロガーかウェブに明るいライターが書いてるだけで、ネットの外の人に浸透してるとは到底思えない。

マスコミ…つまり、4大新聞の関連記事もなければ、日経も地方紙出ない。リンク元の記事だって「日経」だが、日本にも同じ言葉が存在することに対して触れてない。

 

ここにやりがい搾取という価値観がネット以外で浸透しない理由があるのでは?

やりがい搾取の解説かねがね書いてみよう。

 やりがい搾取が起こる国には大きな格差と脆弱な社会保障

 結論だけ言えば「富裕層・お金のある世代がてめーの都合で若者を好きなようにできる環境」がやりがい搾取を生じさせる。

具体的には社会保障の脆さ・法令遵守がなされない(教えられない)環境・高い奨学金や学費のせいで若者は嫌でも働かないといけない…など、とにかく今・将来にまでお金のことで追い回されるような社会制度・慣習がまかり通る国で起こる。

 

また、日韓以外にも酷い「やりがい搾取」が存在する国はある。

アメリカでもマイケル・ムーアが「やりがい搾取」の現場の話を映画で撮っていて、実情を議会に陳情する職業人の発言が冷たい目で見られてる話が出てくる。 

 

この3カ国は政治も経済も、更には社会規範にまで企業が食い込んでいて「企業が国家を運営してるような国」だ。

まず、年令に関係なく過酷な労働や不当な賃金・雇用が許され、社会保障が脆いため将来に不安を抱えて働くように仕向けられる。

そして、若者の問題としては学費が高いのに、大学に行かないと就職できない職業が多く存在し過ぎてることにある。特に日米の学費は世界的に見ても高い。

 

参考資料学費 無償化が世界のルール

 

その学費の高い大学を出た時点で「働かないといけない」「しかも景気も良くないから選べない」という二重苦に若者は苦しめられる事が「やりがい搾取・世代間格差」を大きくしている。

 

ちなみに、この3カ国は有給消化率でもワースト3の国だ。

やりがいを搾取されてるのは給与面だけではなく、「生活を犠牲にしてまで働く」という1つの文化や美徳にまでなっている。ちゃんと休むことよりも会社に迷惑を書けないことの方が強く優先されてしまっている。

 

ここまでは、日米韓3カ国共通。でも、ここからが違う。

日本では企業やおっさんが搾取してる自覚がない

大きく違う所は「そういった社会のあり方に批判的な意見が飛び交うのが米韓、マスコミでは核心を突かずネットのみで共有されるのが日本」というのが大きな違いだ。

 

韓国では貧富の差を大きくするような政治的決定には大きなデモ・むしろ暴動に近い攻防が飛び交うし、酷い決定をしては大統領が必ず犠牲になる。(韓国の歴代大統領は毎回毎回逮捕される)

また、アメリカではマイケル・ムーア以外にも社会批判・企業批判をする映画が沢山あり批判が飛び交ったり、色んな事を言う自由もある。

 

でも、日本の場合はマスメディアのトーンが小さい。

「報道しない」までは言わないけど、一部の弱者・ブラック企業の悪行として扱うことが多くて、社会システムがやりがい搾取を許していることがきちっと説明しない。

 

先ほども述べたが、やりがい搾取が起こりやすい条件は「社会制度が脆弱で将来の不安がいくらでも挙がる環境」と、加えて大半の若者には「大学を出た時点ですでに借金をしている・新卒ならともかく中途半端な勤務期間で会社を抜け出せばとても再就職も返済も難しくなる」という事情もあること。ブラック企業だろうが、やりがいで搾取する仕事だろうが嫌々勤めてる・勤めて病んだ人がいっぱいいる。

しかも、日本の場合は訴え方や手続きについて習う機会も少なかった人が不当労働の現場・働かざるをえない立場に追い込まれるため、抜け出したいと思っても抜け出す方法すらわからないことも多い。

 

でも、社会の問題じゃなくて「ブラック企業が悪い」とか「こんな若者がいる」と報道されマクロ的な改善を促す政治や教育、社会批判にはまずならない。

 

日本のマスコミは殴る相手にはとことん殴るくせに、絶対に殴らない・予定調和のプロレスのように弱々しくしか叩かない相手が多く存在する。

例えば、テレビをもっともよく見るバブル~団塊の世代。基本的に彼らの悪口は出ない。

例えば、今成功してる企業。特に日経スペシャルの番組がそうだが、「こんなの」と思うものも褒め称えるような取り上げ方をする。

例えば、支持率が高い政権。解散総選挙が行われるまではアベノミクスの批判は殆ど出ず、かつての小泉政権もまた政権当時は絶賛され政権から降りてから批判された。

 

何が言いたいかというと「搾取している年代・搾取で栄えてる企業には搾取の構造に加担してること・その企業が採用する制度のせいで辛い人が出ることを追求しない」。本当に良くない文化だと思うが、その企業が非正規雇用で儲けていようが、やりがいを盾にして不当労働をさせていようが、「勝っていれば正義」という空気をメディアは作っている。

 

メディアにこうした「空気」が強いため、やりがい搾取の現場はほとんど報道されず、テレビしか見ないには話が通じない。ブログやTwitterで話している人は「みんなが知ってる」というほど普及した言葉としてやりがい搾取やその他の若者の貧困問題・世代間格差・日本の労働観の非常識さなどを語るが、実はネットとテレビ、ロスジェネ世代以前とバブル世代以降で認識に大きな差が生じている。

 

何しろ報道されてなく、検索しても年配者には見慣れないブログしか出てこないからとっつきにくい話なのだ。

結果、若い時に通ってきた常識を年老いて自分の後輩に会社や一個人として押し付け続けて無自覚に搾取に加担したり、自分自身も搾取される構造に組み込まれる。他のやり方も知らなければ、昔のやり方に問題があることも知らないから。

 

それを「そんなことも知らんのか」とキレるのではなく、粘り強く説明する・自分が偉くなった時に合理的に変えていく・読みやすいソースを見つけて少しづつ普及していかないと、年配者に価値観が浸透しない。

 

社会システムに追い回されてるのが最大の問題ではある。だから、政治や報道が変わってくれれば一番いいのだが、その政治や報道は年配者に配慮して報道してくれない。

 

だから、昔通った「やりがい」という言い回しが搾取だとも思わない人がずっと「やりがい・やりがい」と言い続けるし、その人に批判が届かない。

 この辺りの溝をどうにかしないと変える空気にすらならないんだよなぁ…アメリカや韓国は確かに日本よりも酷い制度や格差はあるけど、その事に言及する人・表立って言える空気があるが日本の場合「ネットでしか言っちゃダメ」という空気がより改善を遅らせてるように思えてならない。

 

 軋む社会 教育・仕事・若者の現在

 やりがい搾取が初めて出てきた本だそうです。

 

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