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かくいう私も青二才でね

知ってるか?30まで青二才でいると魔法が使えるようになるんだぜ?

【映画】ツレがうつになりまして。 感想

映画の話 躁うつ病・発達障害 映画の話-邦画

うつ病にかかった演技をする堺雅人と、それをなだめながら付き添いながら回復方向に向かわせる宮崎あおいという最高に面白い構図が見られる夢の映画が…これ。

 

あらすじ

サラリーマンの夫「ツレ」が、心因性うつ病だと診断される。
結婚5年目でありながら、ツレの変化にまったく気付かなかった妻・晴子(宮あおい)は、妻としての自分を反省する一方、うつ病の原因が会社にあったことからツレに退職を迫る。会社を辞めたツレは除々に体調を回復させていくが…。

 ツレがうつになりまして。より

 

 僕自身も躁うつ病だから、患者としてできるだけ多くの人に見て欲しい。

 うつ入門の名著×名役者の新しい一面!!

ちなみに、原作はこちら。

 

 

レビューがかなりの高評価なので、興味の沸いた人は見てもらえると嬉しい。

特に、うつ病を知らない人に「うつの人の悩み、直面する現実を理解するきっかけ」として見て頂けると嬉しい。

また、うつについて書いた書き物は多くあれど、うつ入門としてのポジションを確立した作品だけあり、患者の僕が見ても「わかるわかる」と思う部分は多かった。

 

でも、どちらかと言えば「うつについての映画」という重苦しい動機よりも、いい役者さんが出ていることをきっかけに作品を見る、知る人も多いのだろう。

役者の演技…それも「色んな作品に出演している役者さんだからこそ、他の作品じゃ見られない一面が楽しめる作品」なので、役者さんに期待して見た人の期待も裏切らない作品だ。

 

特に、主演の堺雅人さんの演技力の多彩さには見入る!!

リーガル・ハイ半沢直樹など彼の人気作品は「デキる男」として登場しがちだが、今作では「うつ病に陥り、自分でも驚く程のダメ人間に成り果ててしまってそれでも生きて行こうとする患者」を演じている。

でも、これはこれで「新しい一面」が見られて面白い!!

「ダメ人間役の堺雅人*1、ありじゃないか!!」と思えるぐらいに忠実にダメでいい!!

 

奥さん役の宮崎あおいさんもいいね。あんなに色気のある人だとは…。

体当たりでぶち当たっていく演技がすごくいい。

うつ病に気づいてあげられなかったマイペースな人だが、夫がうつだと診断されると必死に寄り添おうとする。

だけど時々「あ〜!!とても合わせられない!」というところも出てて、あくまで「デキる・理解のある奥さん」ではなく、できないことをがんばってやろうとぶち当たっていく役柄。

でも、そこに「人間らしさ」「体当たり感」が出てて好感が持てた。

 

うつ病の人が陥る怖さはおおよそ網羅された良作

ここからは、躁うつ病患者としての感想。

 

前にも僕はブログで「うつは心の風邪じゃない。再発するし、原因もわかりにくいから心の癌と呼ぶべきだ」と書いた。(参照:躁鬱病の何が辛いかを簡単に語る  )

 

 躁うつ病と、うつ病は厳密には違うものだが、同じ薬が効いたり、うつ状態と気分が良い時の起伏があることがよく似ているので、ざっくりとは「同じことに悩んでる病気」だと思って聞いてもらえるとうれしい。*2

 

 うつ病でも躁鬱病でも最も困っていることは心の風邪」という言葉や「うつ」というあまり重苦しさを感じない(病人以外の人が言えば)「気分の1つにしか聞こえない」病名から「うつ状態」という症状を軽く見られがちなこと。それは病名がどちらであろうと共通しているため、うつ病躁鬱病ともに一般の人に発信する際にわかってほしいことも自ずと共通してくる。

うつ病などの病的なうつは「抑うつ」と表現される。しかし、「抑うつ」という言葉を知らない人は「うつ=憂鬱」と解釈してしまう。

もっと酷いと、5月病と混同されるが、5月病なんて病気はそもそもない。

確かに、うつ病のような「抑うつ」があるが、うつ病に比べると時間が短すぎて、うつ病とは別の病気として診断される。*3

 

こうした悩みは映画にも出てくる。

 「うつ病という気分」だと思われて、「みんなそれでもがんばっているのにガッツが足りない」とか「家族のためにがんばればどうにかなる」ということを理解のない人からは本当に言われる。

 

理解のある人としか出かけたり、交流したりできなくなるので、うつ病になると良くなる・つきあい方を覚えるまで、働けないし、友達も減る。

うつの間は稼げないし、動けないから人付き合いが悪くなるので、患者側としても相手に申し訳ないと責任を感じることも…。

 

「責任を感じる」けど、治療に入っている分にはまだいい。

もっと酷いと作中のように「うつだと診断されたけど、仕事やお金のことで周りに迷惑をかけられないから休めない」と悪くなってるのに、さらに悪化させる方へ言ってしまうことがあることだ。

映画では 「やめないと離婚する」と奥さんが切り出したのはすごくいいことで、そもそもそれぐらい言わないとムリをするほどに責任感が強い人がかかりやすい病気なのだ。

 

 

また、うつ病でも躁鬱病でもうまく直しても半年、1年はかかるし、「再発する危険性が高い」ため、「風邪」と一緒にする現状の言い方はあまりにも軽々しい。

それでも、1年以上治すのにかかりかねないうつ病を「心の風邪」「軽度のうつ病」と医者が患者を安心させるための言い回しに過ぎない。

また、精神病の世界には自分では外を歩けないほどの廃人スレスレな人が「重度」という基準だから、「軽度」すら一般の言葉とは違う。

 

「軽度のうつ病」「心の風邪」は治すのに半年かかる。何度も病院に通う大変な状態であることをもっと多くの人に知ってほしい。

 

そして、この映画は「心の風邪」の大変さを 丁寧に描いている。

作中に「心の風邪」という言葉も出てくるものの、夫が療養していて再就職できないあいだに貯金が磨り減っている描写・「抗うつ剤はやめられたけど、前のように前のような勤務ができなくなっている人」の存在など、実際に当事者たちの辛い現実も、キッチリと描いている。

 

作中でのことは僕が実際に悩んでいる現実に限りなく近く自分の近状、うつ病患者の人から聞くことに近く、とても共感できた。

題材が題材だけに、「エンタメ性」はあんまりない。

でも、問題に直面した人が体当たりに、手探りにぶつかっていく姿を描けるだけのいい役者さんが出ていて、リアルに作りまれている。

当事者である僕にとっては、そのことに感謝すら覚えた良作。

 

 

続編もあるで? 

 

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お先に、青二才します。

*1:この翌年に出演した「鍵泥棒のメソッド [DVD]」は「ダメ人間堺雅人」の優秀な作品。ちなみに、主演は半沢直樹で「大和田常務」として出ていた

*2:躁うつ病にはうつ病と違いは「躁」と呼ばれるハイになった状態があり、これがまた問題であり、治っていけば行くほど「躁」に注意すべきだと言われる。でも、治療しないといけないほど重度になると「うつ」で悩むことがおおく、うつについて考えることも多い。

*3:詳しいことはこっちでを参照:はあちゅうにうつと五月病を混同されて迷惑している