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かくいう私も青二才でね

知ってるか?30まで青二才でいると魔法が使えるようになるんだぜ?

半沢直樹とはなんだったのさ?~ドラマのミソはラストシーンと半沢花~


もう聞いている人もいるとは思うが、半沢直樹は「盛られている」よね。

銀行員から見ても、金融に関わりのあった人と仕事をしてても「半沢直樹はドラマ用に着色された嘘っぱち」だそうだ。

 

勤務経験者だけではなく、半沢直樹シリーズの原作を読んでいる人から見ても

僕も問題のシーン(大和田と半沢の処分について)だけ20ページほど立ち読みしてきたが…確かに、こちらのほうが腑に落ちる終わり方をしていた。

 

日本のドラマというのは演技が大げさで、恥ずかしくなるほど派手なパフォーマンスをするものが多いのだけど…このドラマもそう。原作者が多少なりつじつまが合うように書いているものを後半になるにつれてドラマ向けの濃い目の味付けが先行し、最後はやり過ぎた。

 

僕のいつもの論調から言えば、「肝心なところがリアルじゃないから面白くないんだ」という人間の意見に加わるが、今回はちょっと違う。むしろ肯定する立場でこのドラマを語ってみたい。

  • 組織が世界の全てだという洗脳

まず、ろくに調べないで半沢直樹のドラマを持ち上げたり、批判している人にドラマの変更点の中で、大事なポイントを付け加えておきたい。

半沢の妻「花」の存在が大きく変わってる。原作では花は悪妻気味に描かれているそうだが、ドラマオリジナル要素で花の見せ場になっているシーンがいくつかある。

 

・奥様会と呼ばれる銀行員の社宅の妻の集まりに出ているとこ

・東京編で疎開資料を送ちゃったとこ

・東京編で夫人を通じて、ネタをゲットして夫のピンチを救うとこ

 

こんなシーンは原作にない。だけど、元メガバンの行員からは「嫁から愚痴を聞いてる」と話す。そして、オリジナル要素でありメインのストーリーでないにも関わらず、出向した近藤さん並の出番で半沢花の奥様会での話や、夫への不満を愚痴るシーンが毎回毎回出てくる。出てくるだけじゃなくて、金融庁の黒崎にまでダメージを与えるほど活躍してる!

 

ほかのドラマよりも「生活の全てに銀行が食い込んでいる」ような描写が多く、半沢自身「動機と飲めば、金か人事の話」と最終回にこぼすシーンがあるほどだ。

半沢直樹のリアリティーというのはやりすぎなほどの口論にあるのではなく、半沢夫妻の「サラリーマンとして生きる息苦しさと理不尽さ」という古典的でかつ日本的なサラリーマン人生を描いたところにこそある!

 

日本人は学校を卒業しても、「組織人」であり続けるため、本質的にはやってることは変わらないんだよ。大学みたいな周りの人の話に振舞わされない時代が特殊で、いつも年の功ぐらいしか取り柄のない老害に愛想を振りまかないと生きていけない。

 

それを既存のドラマよりもっとうんざり・ぐったりと書いたのがこの半沢直樹だ。サクセスストーリーではなく、組織によって人生を台無しにされる人を多く描いている点がすごく斬新。そして、なによりも組織人という立場でありながら組織を信用できない現代的な会社でのサラリーマン生活に似ていて感情移入しやすい。

そもそも、ドラマや映画で描かれる「職場・事件」は悪用や情報の保護、あるいはドラマ的演出を目的に一昔前の考え方や手口を書いたり、大げさなアクションが感情表現が入る。

 

もし半沢直樹の最終回が実際にあった話なら、十数人の前で土下座した大和田常務は次の日もおめおめと出勤できるわけがない。土下座させた半沢次長も目の敵にされてデスクや書類がなくなってるかもしれない。

 

でも、そんなところはどうだっていい。それを言い出したら伊丹十三作品なんかもっとひどいから!

・映画のほとんどがスーパーの話なのに、最後はカーチェイスだから!

・たかがヤクザ十人相手に、最後は盾を持った機動隊がホテルの中にひしめく!

 

  • バカみたい?でも、俺は伊丹十三が好きなんだ!

なぜか?エンタメとしておちゃらけた終わり方をしても、そこにたどり着くまでは本質的なことを描くからだよ!どこまでもダメな人間と、違反をする人間の心理描写が忠実だからだよ!!

 

ドラマのオリジナル要素に当たる花のシーン、それからドラマで並行して描かれていた近藤の出向や引越のシーンというのがドラマの本質なんだ。

銀行でも、タミヤ電器でも、会社という「狭い世界・乗りかかった船」の中で生きていかないといけない大人の悲しさを美化せず・逃げず・それでも戦い続ける様子を描いたから半沢直樹は素晴らしかった!!

 

土下座する大和田常務/机を叩く小木曽次長はエンタメ要素で、それがヒットした理由じゃないんだよ!半沢がそう言う人に倍返しする痛快さは確かに面白いけど、現実にはあんなに気持ちよく倍返し何かできないんだよ!

ドラマとしてのおもしろさを強調するあまり「話が、銀行という場所が単純になった」「花という女性キャラが無理やりでしゃばっている」という批判は多く聞く。

 

でも僕は半沢直樹が好きだ!

 

勧善懲悪物語だから?キャラクターが面白いから?違うよ!

まず、ドラマ的・映像的なおもしろさに作り直されているところが好きだ。銀行という場所のリアリティーこそ失ったが、花の活躍する場面を作ることで幅広い層の人が共感できるテーマ性とエンタメ性を備えた作品として大ヒットした。

物足りなく感じる人もいるかもしれないが、むしろああいったエンタメ性があったからこそ花というキャラクター、ドラマ版の描く半沢直樹のテーマ性、倍返しと土下座というエンタメ要素が際立ったと言えるのではないだろうか!!

 

最後に、賛否両論になってたラストシーンについて語りたい。

半沢のにらみで終わるシーンだが、アレはよくできてると思う。

もっとがっくりと肩を落としたり、出向先で元気にやってる半沢が出てきても面白いかもしれないが、それは蛇足だ!

 

組織のために仕事をしていて、夫婦共々プライバシーも休日も休まるところがなく、組織に振り回され続けて、仕事をやり遂げたドラマの10話。そして、組織からの仕打ちがアレでは理不尽という言葉では足りない!

 

そこで無言で頭取を睨みつけて終わるような終わり方になってる。

原作では人事部長と半沢の上司がなだめながら説明する様子になっている。それは確かに現実的だけど、ドラマとしてはやり場のない怒りをどこにぶつけていいかわからない不思議な顔で終わらないといけなくなる。

 

半沢直樹というタフな人物を最後の最後で目の前が真っ白になった姿を描いてしまっては、バツが悪い。何より半沢らしい終わり方じゃない。

頭取という銀行そのもの・組織そのものが目の前にいて、なおかつ「頭取自身の描く都合として半沢の出向がある」という経緯の方が今まで振り回されてきたことへの無念さと、虚しさ、なによりも憤怒が伝わるような表情ができあがる。

 

ラストシーンは続編への伏線かもしれないが、それ以上だ!

 

組織に振り回されてきた人間・それでも組織を是正しようと頑張ってきた人間が、よりにもよってその組織そのものから仕打ちを受けたからこそできるあの顔で終わる。

 

それがあのドラマのポイントであり、サラリーマンとしてプライドと責任感を持って、公私を捧げて生きてきた半沢の本音だ。

 

・参考資料

池田信夫 blog : 「半沢直樹」の不在 池田信夫 blog : 「半沢直樹」の不在 

半沢直樹がリアルじゃないという話(なんだけど、バブルネタが多め)

 

 半沢直樹最終回が原作と内容違いすぎで、100%ファンタジーに!! まじ泣いた・・・ | More Access! More Fun! 半沢直樹最終回が原作と内容違いすぎで、100%ファンタジーに!! まじ泣いた・・・ | More Access! More Fun!

 半沢直樹が原作と違うという話。(かなり参考にした)

 

元メガバン行員だけど、、、、 ぶる速-VIP 元メガバン行員だけど、、、、 ぶる速-VIP 

 知ってたけど、やっぱりメガバンってくそだわ!