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かくいう私も青二才でね

知ってるか?30まで青二才でいると魔法が使えるようになるんだぜ?

グラゼニ(1〜7) 森高夕次・アダチケイジ


グラゼニ (1)

グラゼニ (1)


当ブログの暗躍者『トロワル』さんから
「You、グラゼニのレビューやりなよ!なんか、Youのブログ『グラゼニ』って感じするから、レビューしちゃいなYo!」
とリクエストを頂いたので、グラゼニで書いてみよう。

もうご存知かと思いますが、グラゼニというのは「グランドに銭が埋まってる」の略です。 埋まってるゼニを掘り起こす。それがプロ野球選手の仕事だ…というスタンスのマンガ。

巨人の星以来の往来の野球マンガファンから
「いや、そんな切実な野球選手と『誰を討ち取ったら、どのぐらい投げたら年俸がいくら上がる』みたいな選手の話はイヤだ! 元モー娘。メンバーのAV見せられるようでヤダ!」
という人もいるでしょう。 少なくとも、僕に言わせると毎日新聞が宣伝する高校野球にはそういう印象をもってます。お金が絡まないで、純粋に汗と努力と友情と…ヤダww「ブログ界のやられ役」の僕とは正反対の世界じゃないですかwww

野球マンガやその元ネタになる高校野球は元々「友情・努力・勝利」が基本になっていて、見る方も、見せる人もそういう演出を手がけるように作ってきました。高校野球が地方・全国問わず一環としてトーナメント制なのもいいね!敗北で辛酸を舐める姿を描かないでひたすら「ヒーロー」という偶像を作れる。

グラゼニはある意味「野暮」な作品だ。ヒーローとしてのプロと、職業としてのプロの狭間を行き来する。そんな作品だ。一言で言うなら…

  • 男には、それでもヒーローにならなきゃならん時もある

「それでも」なんです!例え相手の方が強かろうが、飲みすぎた次の朝だろうと、不服な采配だろうが関係ない!結果を出さなきゃプロ稼業は渡っていけない。

昨今、勝利や成功をアクティブな行為のように言う人が多すぎるがする。実際の勝負とは「勝ちたい」よりも「勝たなきゃ辛い明日が来てしまうから、どうか勝たせてください」に近いものがあろう。(だが、それを見られたら足元を見られたり、流れが逃げてしまうから仕方なく虚勢を張る!)

少なくとも僕はそうだ!商売やってる時に明らかに魅力的でない商品でも売らなきゃならんときは「持ってかない!半額でいいのよ!」といい、ブログでも「俺は面白いもんかけるんだから読みやがれコノヤロー!」と言い抜く。

希代の芸達者…それこそ野球で言えば『イチロー』だけがハッタリがなく自然体で勝負ができる。それこそ、ありのままの準備と勝負を繰り返す正当な戦いだけで勝ち抜くことができる。

グラゼニの話にちゃんとつなげると、高校(大学・社会人)まではプロ野球選手はその世代のイチロー…つまり、ヒーローなんです。全国で4000校程が高校野球に出場しているそうだが、野球の選手は支配下70人×12球団。どれだけ少なく見積もっても、4000校×9人=3万6千人?実際はこの3倍ぐらいで10万人は高校球児がいるだろうね。(ベンチや後輩コミコミで考えたら、そのぐらいいないとチームとしてゆるすぎる。)10万人中一年でドラフトに指名されるのが、何人?高校生だけなら30人ぐらい。(※育成は含めてません。)

3333人に一人の逸材!?(後輩考えないなら「×3」)多分、東大は入るとか、資格試験に受かるとかそういうのよりずっと難しいわけだよ。

ガイナックスだったかなぁ。あるアニメ会社で「この世で一番絵が描けると思っているような奴ばかりが入ってくる」(ので、アニメ描けるように叩き直す)と言っていたけど、そんな感じ。「負ける気がしない!!」と天狗になるほどの勝利を勝ち抜いたやつしかプロになれないのですよ。

だけど、そういう奴がプロになってもプロの中では凡庸である事が多々ある。ニコニコ動画のタグに「人間辞めましたシリーズ」というのがあるが、140キロのストレートが投げる、打てる時点で人間辞めましたシリーズです!
くどいようだけど、プロ野球とは「万国人間ビックリショー」だが、できないと野次られるし、生き残っていけない。すごく高いお金*1はもらうが、それだけすごいことをやっている。

グラゼニはそんな「かつてのヒーロー」達が登場人物であり、トップスターも老いた人しか出てこない。リアルで言うと…満場一致で出てきそうなのは斎藤佑樹だろうね。
一方で、イチローダルビッシュだって居るわけだ。 そういう人から打つ・抑えるしないと勝てない試合だってある。そういう時に「それでもヒーローにならなきゃいけない!」のだ。 それもすごい人よりも、平凡だと言われる人にこそ、「負けられない戦い」が回ってくる。

例えば、野手なら3割前後しか打てないのだから、試合に出てる人は3回のうち二階は凡退したり、わざとアウトになって点を稼ぐあざとい野球をやってもいいのだ。出番の多い投手だって、どれだけ防御率がいい投手も2点は取られるし、たまには負けたって最後に帳尻を合わせればいい。

だけど、グラゼニのポイントは「出番が安定しない中継ぎ投手」であり、「人が作った価値の流れを守る中継ぎ投手」であり、「接戦で打たれてはいけないシーンで出てくる中継ぎ投手」であり、「プロ野球のヒーロー相手に真っ向勝負ができるほどの才能はない中継ぎ投手」…これが主人公なのだ。

だからこそ、強打者やピンチに登板して「(決していい状態じゃないけど)それでもやらなきゃならんのです!」という作品になっている。

一番僕が伝えたいのは「プロ野球選手には明らかにヘボそうなのがいるけど、アレは平均レベルが凄すぎてそう見えるんだよ!!」と言うことだが、その話が出てくるのはグラゼニの2巻のことだ。

グラゼニの魅力は3種類ある。
1、プロ野球選手の厳しさ。(『万国人間ビックリショー』振りと、その中でも勝ち抜かないといけない宿命であり、野球選手というヒーローを「演じ続ける」辛さ。)
2、「仕事としての」野球選手。(『貯金したよなぁ』とかぼやくヒーローの姿であり、引退やケガによってお金を稼げなくなった「屍の骸」であり、一般の人から見た野球選手とその反応)
3、勝負という不確実性の因果。(漫画家の話だったり、最近連載していた先発転向するお話)

そのすべての要素が散りばめられたのが2巻だろう。結果だけを期待して「がんばれば、報われる」と言う人にこそ読ませてやりたい所以です。

…え?ワナビー(気取り)体質のお前が言うな?

わかってないなぁ。俺は「好きなことを全力で好きになってやり続けろ!」主義であって、「頑張れば努力が報われる」主義じゃないよ?恋愛で言うと「付き合えるかどうかはわからないけど、末永く一緒にいられる」のが僕の考えで、結婚できるか通報されるストーカーになるかのどちらかになるのが後者。

頑張るってけっこう怖いことなのよね。報われない努力は結果がでないとき泣きそうになるし、へたすると流れそのものを潰すような頑張りだってある。「頑張れば報われる」と「欲しがりません。勝つまでは」の違いを教えて?僕にはわかんないんだけど。僕は「欲しがり続けなさい。欲しいと言ったらお古をくれるか、安く恵んでもらえるか、プレゼントに買ってもらえるか…とにかくチャンスがあるから」という主義だからね。…誤解してる人が多いから今言うけどさ。*2

グラゼニが良いところは「なぜか上手くいく」と「なぜかダメ」の両方を描いているところ。これは原作者「 森高夕次コージィ城倉)」さんの作家性です。コージィ城倉作「おれはキャプテン」では試合前と試合の時に起こる「偶然」が繋がって描かれてる。グラゼニで彼の作品にハマった人はその部分を追求しないから「野球選手の生活感・社会観」こそがグラゼニ森高夕次作品の魅力だと思いこんで最新刊の展開を詰まらないというが、とんでもない!森高夕次らしい作品づくりはむしろそういう勝負の偶然に翻弄される人間の姿にこそある。そこを楽しんでいただきたい。

1・2はそのベースがあって楽しめる。特に「2、仕事としての野球選手」なんて本当に流れや試合前の出来事で決まっている事が多い。始まったと思っている頃には終わりに向かってる。
勝つの負けるのは時の運であると同時に、自分自身が人から見たらわかる変化に気づかないまま勝負に臨んでしまっている事に起因していることが多い。それに気づけなかった人が負けたり、引退してしまうことが多い。

科学的ではないが「因果律」ってモノは確かにある。その正体は「執着」であり、「自意識」であり、「無知」であり…色んな「見えていないこと」が積み重なって生じる「偶然」はある。*3

では「因果律」は絶望的な存在か?というと、それも違う!事前の事情や調子や先にこちらが相手の知らぬことに気づけたら、相手がイチローでも勝てることがある。そういうものだ。そこまで含めた因果律だ!

グラゼニの2巻では1を『リフティングの回』『トーマス投手の回』で描き、2を『漫画家が試合を見に来たときの試合』で描き、3を『東光捕手のサイクルヒット』『関谷選手との勝負』の話で描いている。

グラゼニは4巻まで読んで欲しい。4巻まで読んでそれでも面白くなかったらもう僕は文句を言わないけど、1巻は2(職業としてのプロ野球選手)の部分が強すぎる。2巻がバランスが良く、3巻の「投げる球がない!」が僕の中ではグラゼニ屈指の神回だと思ってます。4巻で優勝争いが絡んだ、ヒーロー色と3の因果律の混ざったこれも良い仕上がりの話が出てくる。

オフの話・先発投手編はグラゼニの魅力3つのうちどれかに偏るため、評価が分かれるところですが、1〜4はマンガ好きであり、(少年野球やってたから)野球好きでもある僕としては太鼓判を押したい。

  • 最後に、お願い。

「こういう記事書いて」「レビューやって」「同人誌贈るから読んで感想書いて(※やったことある)」というリクエストがあったら、賜るので、どんどん言ってください。

レビューでもいいし、こういうの調べてやって欲しいとかそういうのがあれば、やろうと思います。(リクエストが少ないうちにできそうな順にやるから、なるべく早いうちにどうぞ。)


全巻セット用意したので、良かったらどうぞ。なかなか文字が多い濃い漫画だから3・4時間ぐらいかけてじっくり全巻通して読むと、充実感ありますよ






・参考記事
GAINAX NET|GAINAXアニメ講義第17回 「アニメーターは食べていけるのか」|講師:今石洋之・村田康人 / 司会進行:大塚雅彦 GAINAX NET|GAINAXアニメ講義第17回 「アニメーターは食べていけるのか」|講師:今石洋之・村田康人 / 司会進行:大塚雅彦

チラッと引用した発言が載ってた記事。面白いのでよかったらどうぞ。

*1:例えば、イチローは一年当たり15億円ぐらい

*2:※だから「ブクマ乞食」というのは当たってるかも。だって、乞食って頑張ってないじゃん!くれと言うだけだからね。極論を言えば、乞食なのかもしれない。いや、むしろ「疲れない商売」とは乞食のごときモノだろうね。いつでも売り込まずに「いらっしゃい」が基本だから

*3:宗教によっては神を内なる存在として定義しているようなものもあるので「神の見えざる手」と言えなくもない。