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かくいう私も青二才でね

知ってるか?30まで青二才でいると魔法が使えるようになるんだぜ?

ルパン三世 Green vs Red

アニメ

コミティア以降ずっと同人誌紹介に精を出してきたけど、同人誌ばかりでもマンネリするので、今日からしばらくアニメ映画・テレビスペシャルをやろうと思う。

検索記録を見てる限り、ルパン三世は過去の作品でも探してみる人が多いらしいので、ルパンの話を少しやろうか。実際、ルパン面白いし。

お品書き

  1. アイデアだけなら最高傑作!
  2. 等身大のルパン三世があるなら、こんな感じ。
  3. 見どころは何と言っても、白黒のアクションシーン
  • ルパンという概念

「ルパンとはなんなのか?」という話。そういう名前の泥棒がいるのではなく、そういう「概念」なんじゃないか?

そんな切り口でルパンを語った作品。

ルパン三世の本物は居ても、その偽物も居る。いくつものルパンが作られたが、その偽物で実は本物なんぞいない(居ても、今まで見てきたそれとは違う姿をしてる)としたら…。

原案は「押井守ルパン三世」だと思われるのですが、本当に作品を貫くコンセプトが押井さんっぽい。アニメファンの間じゃ「押井守っぽい」と言えば、モヤモヤと「内向的・懐疑的・難解・理屈っぽい・政治色がある」などのイメージが湧くと思うが、まさにそのとおりである。

ルパン三世というと、アニメのジャンルで言えば開放的で痛快爽快なジャンルだと思われる(と思うし、僕もそういう作品が多いイメージ)。

ただ、このルパンはルパンにしてはウジウジしてる作品。ルパンが何者か、そもそも今まで見てたものはルパンなのか、ルパンって何か、政治色を持って「核や戦争が軍」がどうと言った話が多い。(おまけに、ネットには世論に比べて右寄りな世論が渦巻いているから、左翼色が強い政治思想をあれこれと聞かされて、不愉快だという人もこの作品の場合はあり得る。)

おまけに、押井作品よりもめんどくさい演出が組み込まれている。(※理念としては「押井守映画」らしい演出なんだけど、押井さんがやってるところを見たことがない。)

それは「時制の並び替え」が入ってる。有名なのは「涼宮ハルヒの憂鬱」の放送回を時系列と違うように並び替えてるアレだが…この作品が同じようなことをしてる。冒頭のシーンがラスト20分位にならないとつながらないし、中盤については断片的に色んなものを見せられてごちゃごちゃ。

押井守映画らしい」と述べた理由は「映画を見返したり、語ったりする楽しみ」を重視する映画監督なので、この作品は(公式には押井さんは加わってないけど)押井守っぽさがあるところに、(どっちかと言えば)硬派なアニメオタクとして「へぇ…」「ほぉ…」と唸りたくなるような良さを感じた。

  • もし、「リアル」なルパンがいるとすれば…

でもね、僕がこの作品を好きなのはそんな理由じゃないんだ。今から話すことが一番重要な理由。

そもそも論だが「ルパンはかっこよすぎる!!!」と思うんだ。

何か、何やってても許されちゃう「ただイケ(※ただしイケメンに限る)」を具現化したような感じでリアリティーないんだよ!…共感できないっていうの?

ルパン三世の世界観の住人なら憧れたり、嫉妬したりしたくなるような…古い言葉で言えば「クラスのマドンナ」を見るような眼で見てしまうんですよね。何かしらのリアクションを示さずに入られないような存在感・話題性を感じてしまうような。

強くて、盗み(仕事)の腕が完璧で、金がなくても楽しく生きて、モテモテで…そういう現実離れした格好よさとは対局的な人間がほかの大多数か、どれか1つしか手にできないような人間のなりたいもの、憧れるものを全部持ってる。

そんな普段のルパンとは違う人間が主人公をやるから非常に好感が持てる。順を追って説明しよう。

最近、天皇陛下のご病気のこともあり「崩御」について考えた。崩御すれば、年号が変わるため「平成はこんな時代だった」「平成らしさはこうだ」という言われ方をしてくる。(※戦後の高度成長までの団塊の世代の若い頃を「昭和らしさ」として未だに映画のモチーフにされるあの感じ。)

「平成」という時代を描くとすれば、どういう時代・歴史なのかな?

僕は映像がたくさん残ってる昭和と平成を対比すると、「昭和」は既存のありがちなルパンだと思ってる。ヒーローに憧れ、リアリティーはないけど、それを見てることで憧れや応援団としてその一部になれるような気分を味わう時代。(テレビや映画に「スター」がいた時代。ちなみに、今の韓国がこれに近い。)

平成らしさ、平成っぽいルパンって何か?それはルパンというヒーローが複数の人間に支えられて、活躍できるようになるというところにあると思ってる。

私が用事で訪れた老人ホームに長嶋・原の写真が嫌というほど貼ってあるところがあった。あんまり昭和らしくて時代錯誤なモノで「こんなところにだけは死んでも入りたくない」と吐き気を催した。
ルパンもその吐き気のするものだと思うのですよね。…実態がない空虚なヒーロー。何か人間らしさ、等身大な部分がないと、憧れることはできても共感することができない。だが、それをルパンにやらせたんじゃ矛盾する。

「声優の世代交代と引っ掛けてる」とこの作品について述べている人がいるように、世代が違うルパンをもう一個別に表現する必要性が生じる。

昔のルパンは一人でかっこいい。でも、今のルパンは一人ではかっこよくなれない。ルパンがルパンであるために必要なものが違う。その違いを対比して描いてる「時代・空間」の描き方に感動した。

だから、「今のルパン」は昔のそれら(ルパンの主要キャラ)にコンプレックスを持ってる。そこにすごく共感できる。すごいと思ってる憧れがあって、それの偽物であるような気がする感じ…どこまでも突き詰めてもそこになれない感じ…あるいは違うプロセスを踏んでやっとそこに行く感じが細かく描かれているところが好きだね。

ルパンってゲームで言えば「レベル100」のキャラなんです。でも、レベルが低い僕ら若者って、この「レベル100」に憧れると同時に「倒したい」とも思ってる。(はい、潰す気満々です(笑))
だけど、同じ土俵に並んだのでは倒せないし、押し付けられることなんかもってのほか。その葛藤がいつもあって、余裕のある年配者は「はい上がってこい!」と冷やかし、突き落としながらもそれを見守ってる。

この話は様々な意味で「リアル」なルパンだと思う。時代・世代や年齢・役割やスポットライトの当て方の違いがルパンらしさと、今らしさの両方を持ってる。そこが良かった。

  • 作画がとにかく良い!

嫌味を言えば、ルパンの多くが予算をみっちりもらって、いい仕事をしてるんです。(最新の「血の刻印」だって、テレビであんだけの作画やるのはねぇ…。)

アニメ作画の良さは色々あるよ?動きがなめらかとか、絵が安定してるとか、わざ崩して描くシーンが出てくるとか…好みやタイミングによって同じことをしても評価が変わっちゃうのですが、これはその点ですごく良かった。

基本となる絵柄も綺麗で、演出で崩して書く作画もある。動きもスピード感・重層感・色っぽさ…それぞれに相応しい感触を表現してる。


もし、部門別にこのアニメを採点すると作画に関して言えば90点ぐらいあげたい。脚本・シナリオで100点上乗せ。…演出については-30点で、150点。「色々と惜しいところがある」と述べる視聴者が居たように「もっと出来たんじゃないの?」とか「これ必要だった?」というパートがいくつかある。それが作品の中でぼやけた。


でも、合計で160点です。(※え?基準がわからん?300〜-300までの点数で、150点以上は名作。DVD買って見返したいレベル。100点以上は良作。DVDを置いておく・人に安心して推薦できるレベル。60点以上で…安心視聴レベル。40以上で不安はあるけど、作品としては成立してると思うもの。40未満?人に見せたくない。0未満ならアンチに回る。)

僕はかなり辛口ですからね。その僕が「これ面白いよ」と言うものなので、好みはあれど、安心して見られるものではあると思います。

見返す楽しみがないと、シナリオで100とか絶対言いません。見返してなお面白い作品だから、100点にしました。


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