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かくいう私も青二才でね

知ってるか?30まで青二才でいると魔法が使えるようになるんだぜ?

イソップ寓話に反論したくて…私説『(大人の)アリとキリギリス』


うん、僕は桃太郎と並んで「アリとキリギリスに反論があるから」色々と書いていこうと思う。

記事の内容

  1. あらすじ
  2. 冬が来る
  3. 責任ある立場
  4. あとがき&解説
  • あらすじ

夏の間、アリたちは冬の間の食料をためるために働き続け、キリギリスは歌を歌って遊び、働かない。

  • 冬が来る!!

事件は11月頃に起こった。
キリギリスたちは寒いわ、食料は見つからなくなるわ…困り果てた。

そんな時だった。アリたちが食料を持って通りかかるではないか。キリギリスはアリに話しかける。
キリギリスA「お仕事、お疲れ様です。…調子はどうですか?」
アリA「最近は忙しいですよ。…この時期は女王アリ様がオスアリ達から貰った大量の精子を使って子供を産むからね。栄養もいるし、赤ちゃんの世話もみんなでしないといけないですから。」
キリギリスA「…へぇ。でも、遊び呆けているオスありはもう死んじまって居ないのでしょう?だったら、そんなに食べ物の量も変わらないんじゃないですか?」
アリA「たしかに量自体は減りましたが、食べ物も減っていますからね。探すのも大変なんです。」
キリギリスA「あなた達はそれが得意でしょう。…どうです?私たちに食べ物を恵んでもらえませんか?」

アリA「断る!!」

アリは冷たくあしらったが、キリギリスも生死が関わっているのだから食らいつく。
キリギリスA「話を持ち帰るだけでもいいんです。女王アリ様によろしくお伝えください。」
すがりつこうとするキリギリスにアリはいらだちを言葉にする。
アリA「あなたたちは夏場に歌っていたじゃないか!!今度は収穫を祝って綺麗さっぱり何もない畑で踊ったらどうだい?」
キリギリスA「ぐうぅ…。」

うなりながら、落ち込むキリギリスを見てアリはいたたまれない気持ちになって逃げるように去った。
アリA「すまないね。こちらも仕事があるから失礼します。」
キリギリスA「…いや、こちらこそ悪かったです。お仕事、頑張って下さい。」

…(ここからが私説「アリとキリギリス」)

とっさに厳しいことを言ったアリAは罪悪感に駆られこの話を巣に持ち帰った。
アリB「うわ…お前あんなに図体がでかいキリギリスによくそんなことがいえたな。」
アリC「ほんとにスゲーよ。そのキリギリスが礼儀正しかったからよかったけど、あいつらはタンパク質も食うから…お前も危なかったかもよ。」

アリD「…しかし、ああいう他なかったんじゃないかな?この通りみんなで働いて巣を維持しているのだから、お前の言っていることは間違えてない。」

アリA「だが…このままキリギリスが餓死するのを黙ってみているのも後味悪くないか?」

アリB「…わからなくもない。だけど、こんな話を女王アリ様にもって帰って見ろ。『大事な卵を食う捕食者と寝泊りを一緒にできるか!』ってお前リストラされるぞ。」

アリC「アリ社会は縦社会ですからね。我々下っ端のありは巣を追い出されれば、エサを求めてさまようただのアリだからな。…「働きアリ」なんて呼ばれるだけまだいい。奉仕する相手も、寝床もあるからな。」

アリD「そうだな。…なぁ、この話を俺に任せてもらえないか?俺はアリAのやりたい事も一理あると思うんだ。」

アリB「アリD…お前、殺されるぞ。」
アリC「さっきの話聞いていたら、任せるも何もないだろう。放置だ放置。」

アリA「…何か当てがあるのか?」
アリD「全て話すことはできん。だが…損ばかりの話でもないということだけは約束するよ。」

アリB「アリD、お前まさか女王アリにこの話を持って行く気じゃないだろうな?」
アリD「一応、勝算があるのだが…」
アリC「リスクが大きすぎるだろう!!「働き」アリから、ただのアリになりたいのか?」
アリD「それをうまくやる自信があるんだ。心配するな。女王アリもそんな簡単に俺をクビには出来ないよ。」


(女王アリ様のお部屋)
女王アリ「要件とはなんだ。」
アリD「実は、私と共に働いているものがキリギリスからお言伝を賜ってきたのです。」
女王アリ「聞こう。」
アリD「寒さと食糧難に困っていて、死にそうなので我らの巣に招待して欲しいというのです。」
女王アリ「…お前、キリギリスがどんな生き物か知っていてそれを言っているのか?」
アリD「もちろんです。ですが…。」

アリDは女王アリにプレゼンを始める。女王アリもそれを聞く。
女王アリ「…。うむ…。なるほど。…悪くない話だ。」
アリD「でしょう。」
女王アリ「だが、受け入れたキリギリスをどうするのだ。部屋もそうだが、仕事も与えてやらないといけない。」
アリD「仕事ならこの部屋にも、あるいはどこにでもある。」
女王アリ「聞こうか」

アリD「女王アリ様もご存知の通りキリギリスは夏場は歌を歌って暮らしていた。特にオスの歌はそれはそれはうまく、女王アリ様の娯楽の1つになるかと。」
女王アリ「…なるほど。確かに、私も交尾の際に外で聞いたことがある。だが、それだけでは。」
と言いかけたところで、アリDが話を取る。
アリD「十分です。私は女王アリ様が冬の間、この暗い部屋でずっと卵を産み続ける辛さ・退屈さ…要するに諸々のストレスを少しでも癒してくれる「何か」が必要だと思うのです。」
女王アリ「それがキリギリスだと言いたいのか?…わかった。だが、私一人で彼らの提供する歌や踊りを見るのも忍びない。我々が食料を運んでやる範囲内で多めに呼んでやれ。」

アリD「はい、後は私にお任せ下さい。」
女王アリ「それと、前祝いだ。アリAとお前には後で褒美をやろう。」
アリD「ありがとうございます。しかし、仕事を手伝うBとCにも何か与えてやってくれませんか?」
女王アリ「頭が回る上に友達思いときたか。…ますます気に入ったぞ。」

というわけで、アリA〜アリDは3匹のキリギリス達を巣に受け入れた。

  • 女王アリの責任

キリギリスを受け入れ、仕事が増えた事はアリ社会を二分した。

キリギリスの歌と踊りが好きな人は若いアリ達は彼らのために働く事を苦としなかった。しかし、保守的な考え方の女王アリ達の側近の多くはキリギリスを怖がった上に仕事が増えたことを嫌悪した。そして、そのうちの一人は女王アリ様に抗議した。

側近アリ「女王アリ様、どうしてあんな怠け者の…アリの風上にもおけないようなヤツを巣に入れたのです?」
女王アリ「…楽しいじゃない。私なんか彼らが毎日子供達のために歌ってくれるから卵を生むのが楽しくて仕方ないわ。それに、風上にもおけないも何もアリじゃないから別にいいじゃない。」
側近アリ「そうです!アリじゃない事が問題なんです。微妙に餌が違うから、余計な仕事が増えました。子供達のエサを運ぶアリに万が一の事があれば…お言葉ですが、冬を乗り切れなくなりますよ!!」

…怒りに震えながら、側近アリは吠える。しかし、女王アリは冷たくあしらう。

女王アリ「…私も、働きアリ達も、コツコツと自分のやれることをこなしていく。それはあなたも同じ。だから、それを少しでも楽しく・あるいは努力が報われるように工夫する事は悪いことじゃないと思わない?」
側近アリ「しかし…。若いアリの中にはキリギリスの歌に夢中で遊び呆けているヤツもいます。まったく、最近の」
女王アリ「言うな!…この巣は私の巣で、あの子達もみんな私に奉仕している。…あなたにもよく働いてもらっているけど、私の方針に従えないのであれば、あなたには出ていってもらうかもしれない。」

自らの首を宣告されるとなると、さすがの側近アリも何も言うことができず、一礼して部屋を去るしかなかった。

しかし、アリB、アリC、側近アリの懸念は的中する。
キリギリスAの友人として、アリの巣に招待されたキリギリスCはなんと卵に手をだしてしまう。

…そのことにアリ社会は震撼し、アリ達の中には女王アリに直訴するものも現れた。罪悪感を覚えたキリギリスA、キリギリスBはキリギリスCを問い詰める。

キリギリスB「てめー…誰のおかげでおマンマにありつけているか言ってみろ!!」
キリギリスC「アリだけに…ありつけて・・・。」
キリギリスA「真面目にやれ!…とにかく謝りにいかないと。」
キリギリスC「誰にさ?俺達は規律正しい生き物じゃねーんだ。食べたいものを食べて、眠たいときに眠って何が悪い。」

キリギリスB「このやろう!!」
キリギリスC「やんのか、ゴラ(#゚Д゚)」

…喧嘩だったら、別に報告する気もなかった。しかし、この光景を見ていたアリはもっと恐ろしいものを見る結果になる。

…彼らは共食いし始めたのだ。キリギリスA,BがキリギリスCを食べてしまった。

恐ろしいものを目の当たりしたアリBは腰を抜かして女王アリの元へ駆けていった。
女王アリ「ん〜そこまでやらなくてもよかったのに…。」
アリB「あんな奴ら危険です。今すぐにでも追い出しましょう。我々もスズメバチ上科の立派なハチです。…毒針がついてないけど。
女王アリ「その必要はない。…そうだな。オスの卵をちょっとだけ彼らにもっていってあげてくれないかしら。あまり気乗りはしないけど、キリギリスを招き入れた以上、正面から戦争したら巣が潰されたり、働きアリが死んでしまっては困る。」

アリB「しかし、それでは不満が抑えられない!!」

怯えるアリBに微笑を浮かべて、安心させながら女王アリが語りかける。
女王アリ「…責任は私が取る。あなたは私の言うとおりにするだけ。いいな。」

キリギリスB、Aは女王アリの御好意に甘えて恵まれてくる栄養満点の卵を食べた。…キリギリスBは正義感の強い虫であったが故に、キリギリスBにとっては罪を許してくれて、その上食べ物も運んでくれて、自分の歌や踊りを楽しむアリに感謝してやまなかった。

…そして、年明けを前にキリギリスBは死んだ。死に顔とは思えないほど微笑ましい顔で、彼の顔に浄土の姿を見るアリもいた。
ところが、キリギリスBの亡骸はアリによって運ばれた。老衰していたキリギリスAは目が見えなくなっており、その事実にしばらく気付かなかった。…そして、年が明けてまもなく、キリギリスAも死んだ。そして、キリギリスAはキリギリスBと同じ部屋に運ばれた。


  • エピローグ

その巣のアリ達は冬に外へ向かうことは少なく、働きアリ達は豊かな冬を過ごした。

側近アリはこの事態を見て、女王アリに聞いた。
側近アリ「もしかして、初めからそのつもりでキリギリスを受けれたのですか?」
女王アリ「アリDが教えてくれたのだ。…キリギリスは元々秋の終わりか冬の前半で死ぬと。」
側近アリ「では、初めから食料にするつもりだったのですね。」
女王アリ「アリDはそう言っていたぞ。老衰して亡骸になったところを食べれば、食料に困らないで済む。そうすれば、赤ちゃんアリの世話要員が割けて、巣を大きくしつつ強固なアリ社会を作ることができる。…そう言っていた。それに、彼は予想していなかったけど、面白い現象も起こった。」

側近アリ「と言いますと?」

女王アリ「働きアリ達が歌を歌いながら働くことを楽しむようになった事だよ。今まで生まれながら女王か働きかの二種類のアリしか居なかったがために、アリ達の中には毎日理不尽そうに働いていたアリがいた。…でも、彼らがみんなに歌と踊りを持ち込んだことで、最近はアリ達も新しい休みの楽しみ方を覚えるようになった。」

側近アリ「…堕落ですな。」
言葉とは裏腹に清々しい表情で側近アリは言う。

女王アリ「ああ、堕落だよ。…既存のモラルから堕落した新しいアリの巣が我らなのだよ。」

(おしまい)




  • あとがきとか

久々に創作物を作ってみました。


・きっかけ
きっかけになった事はあるブラック企業の社員研修で「アリとキリギリスの感想を書く研修をさせられた挙句、それを書き直しさせられた。アリとキリギリスで逆転の発想なんかできない」と書いたネラーがいたのを見て「じゃあ、俺がやるよ」と思ってやりました。


最初は漠然と「アリがキリギリスを招き入れて、キリギリスはエンターテイメントという新しいビジネスを覚えて自立する」というストーリーを考えていましたが、イソップが俺の部屋に降臨して「そんな絵空事のリメイク絶対やるなよ」と怒りそうな気がした。そこで、Wikiでアリとキリギリス両方の生態を調べ直してから「そもそもキリギリスは冬に生きていない」ということを発見した。(あと、共食いする設定も。)

その設定を活かしてアリとキリギリスを再構築した。


この作品のメッセージ性
ポイントは4人です。キリギリスA、アリA・アリDのコンビ、そして女王アリですね。

キリギリスAは「世の中には人から可愛がられるのが上手い奴が居て、そういう奴は自分が無能でも働かなくても、意外となんとかなるものだ」というメッセージ性。ニートとかヒモとか専業主婦というのは人から養われている訳だが、それぞれに世帯主に居候するスキルを持っている。(人として道徳的じゃないスキルから実用的な主婦のスキルまでいろいろ。)

もっとそういうスキルを悪とせずに学問として、ノウハウとして研究してもいいのではないか?と僕は思うのです。


次にアリAとアリDですが、アリAは「できた新人社員」のイメージです。規律や常識に対して疑問や個人的感想というアプローチを持って「これはどうしたらいいか?」と悩む事でキリギリスを彼が救っている。

次にアリDですが、これは「アイデアマン」です。僕は企業でも、社会でもどのような構成体でもビギナーズラックを見捨てたり、セオリーに縛られることなく行動を起こせる人が世の中を変えていくと思っています。そういう気持ちをアリDに込めました。

僕は経済学部の人間ですが、経済学を見るときに「クールヘッドウォームハート」を心がけています。経済とは本来なら徳ある聖職の道徳と、ウォール街顔負けの儲けの知恵が両方合わさってこそ健全なのに、今ある者は特のない知恵です。その原因は双方がいがみ合って知恵を貸し合わない事だと思います。

そして、女王アリですが…これは「今僕が政治家・リーダーに求めるもの」です。いいアイデアを登用し、世間の常識的・俗物的な人間に対してNoと言えて、アリBのように凡庸な立場の人の不安を取り除いてあげる。そして、何よりも重要なのは「責任を取る」と明言すること。
最後の「堕落」の部分もそうですが、「現在を肯定すること」も僕はリーダーの資質だと思います。

女王アリが側近アリに「言うな!」と吠えたのは「お前もそうだから」とかそんな理由じゃなくて、「部下を信じないリーダーなんぞ、リーダー失格だからそれだけは言ってくれるな」と僕なりに思ったので言いました。
理解できないものを疑いたくなる気持ちも分かりますが、何も考えていない人というのはそんなにいない。
自分なりに相手の意図を理解した上で批判しないと結局、双方の思い込みで終わり、思考が広がらない。

女王アリの寛大さというのはそれらを全部詰め込んだ集大成です。


参考資料
Wikipediaのアリ・キリギリス・アリとキリギリス
設定を色々貰った。

坂口安吾「堕落論」

堕落論 (新潮文庫)

堕落論 (新潮文庫)


最後のパート。

支倉凍砂狼と香辛料

狼と香辛料 (電撃文庫)

狼と香辛料 (電撃文庫)


作品全体の考え方と、アリAとDのコンビを個人的にはホロとロレンスが元ネタだったり…。


・「入社すぐの研修で『アリとキリギリス』を読まされて、感想文を書かされた」 ブラック企業社員が激白
http://newslog2ch.blog8.fc2.com/blog-entry-1066.html

きっかけ。



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