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かくいう私も青二才でね

知ってるか?30まで青二才でいると魔法が使えるようになるんだぜ?

ラノベ評論【僕は友達が少ない7巻】 平坂読/時間をどう見つめるか

ラノベ

空っぽの笑顔を貼り付けて私たちは歩く。どんなときもレキは優しい。誰にも心配かけたくないから、誰にも頼りたくないから、レキは笑う。どうしてもっと早く気づいてあげられなかったのだろう。私はずっとレキの一番近くにいたのに…。
ラッカ「明日ければいいのに。…今日の次は今日。それならずっと、レキといられる。」
レキ「永遠なんてありえないよ。何もかもがいつかは終わる。…だから良いんだ。今が今しかないからこの瞬間が大事なんだ。」(出典・灰羽連盟第11話より)

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上記の灰羽連盟は僕が好きなアニメを作ると5本の指には入る作品なので、絶対に見て欲しい。

7巻を読み終わったあと、僕の脳内にこの台詞がよぎった。創作物を解釈する上で、「時間」という概念は最も重視されるべき事柄の一つだ。ラッカとレキの会話に於いて、両方に対して感情移入できないと、7巻は読み解けない。もう、萌え豚ラノベなんかじゃなくて、これは…ラブロマンスだから。

僕は友達が少ない7 (MF文庫J)

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記事の内容

  1. 終わりが始まった。
  2. 「時制」を考える
  3. 矛盾を肯定する人・矛盾に抵抗する。
  • 解脱する物語

このラノベの読者は中学生も少しいると聞くので、「解脱」という言葉を少し解説してから本題に入る。(僕は高校時代に世界史で習った言葉なので、多分今の中学生知らんと思うから書いておく。)

仏教の世界では「生まれ変わり」が信じられていて、魂が死んでは生まれ変わる営みを繰り返し続けると言われている。その営みを「輪廻」と言う。ただし、この「輪廻」から抜けられる人もいる。それが「悟りを開く」って事でその悟りを開いて、輪廻から抜けられることを「解脱」と言う。

なんで、輪廻と解脱の話をしてきたか?それがこの小説にもうまく適合する話だからだ。
6巻までというのは「オタク小説」という「輪廻」の中でキャラを突き詰めたり、何かしらのイベントをやったりして、その付随としてちょっとした物語(ラブコメ要素)があった。

だけど、5巻の終わりで「悟り」始めた人がいるんだよね?

7巻でその悟りで開花した人が6巻までのいくらでも話が続きそうな「オタク小説」とか「萌え豚路線」の「輪廻」からラブロマンスの方向へ解脱していく。

5巻まで全員の思惑がほぼ明らかになった。重要なところは「それがどこへ向かって行くんですか?」という話だったのだが、それは全員が違う方向を向いていたから「未定です」って言うことでうまくいっていた。

その均衡が崩れてくるのがこの巻だね。…だから、未読の人には楽しみに見て欲しいし、既に読んだ人は「わかるまで」呼んで欲しい。(とりあえず、ラスト7ページほどは何か思いつくまで読んで欲しいね。)←僕個人的な感想は5通りぐらい感情が思いつくのと、予想できる展開が4パターンはあった。(そのうち書いていくけど、ここではネタバレ防止のために書かない。)

  • カコ・イマ・ミライ

6巻まではヒロインを切る基軸は「小鷹とどういう関係でいたいか、小鷹に何をしてもらいたいか」というところが切り口だった。だけど、ここで新しい切り口が生まれてくる。

それが「自分の大事な時間はどこですか?」と言うこと。…ちなみに、僕はこのテーマがはっきり言えば嫌いです。理由は問われても答えが決まってるからです。

「過去があるから現在があって、現在に何かするから未来を選べるんでしょ?」

の一言で片付いちゃうから。それを全部別のもののように「お前は昔と今と…どれが大事なんだ?」という問いはなんの意味も持たない。そんなものは自身の哲学(幸福論)の問題で、どこが大事かじゃなくて時間の思い入れの先にある「今何がしたい・何をしようとしているの」って事の方が重要なんだよ。今どうありたいかは過去の情報がないと決められないから過去が大事じゃないと言っている人間は矛盾しているし、過去が大事だという人は「懐古主義者」のように言われるが、自分を作ったのは過去なんだから、そこに感謝する人間の気持ちがわからないとすれば血が流れた人・感謝という心情があるか心の底から疑いたい。

未来が大事だという人?その人が「どれが大事なんだ?」という問いの中じゃ一番話をわかってる。今がないと未来もないから努力しようとする。(そういう人が過去をないがしろにするとすれば、それは現状に満足していないって事だろうよ?過去を肯定した上で未来を目指せる人が一番強いと思うね。どこにも逃げてないからね)

…まぁ、僕が何を言っても所詮は持論なんだけどさ。

創作物には「過去に何かあった」と言う人と、「そんなもんどうでもいい」とつよく拒絶する人と居てそれが対立軸になっていることが結構多い。そういう時にある程度の傾向がある。ネットで「回想は負けフラグ」って言葉があるぐらいに過去にこだわることを一概に悪いことに言われる場合が多い。

そんな中で冒頭でも紹介した「灰羽連盟」は作品の中に主人公が過去にも現代にもとらわれてそこから動けなくなってしまうシーンが出てくる。終わってしまうことを悔やむこともあれば、これから起こる現実を受け入れられないときもある。それを乗り越えたり、受け入れたりすることに向き合っていく作品だから、僕ははがないの作品を読もうとするときに役に立った。

ちなみに、灰羽連盟以外だと押井守作品の「スカイクロラ」、「天元突破グレンラガン」何かが「どの時間が大事なんだ」「どの時間にいるんだ」という安直な質問に終わらずちゃんとした答えを出して終わっていて好きだ。

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天元突破グレンラガン(7) (電撃コミックス)

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「こうじゃなくちゃいけない」という方法や定義はないが、「けしからん」と思う所はある。そこを引っかかりながら、つっかかりながら見ていくと、この作品の本当の姿が見えてくる。

  • このままでいたい人・もっとどうにかなりたい人

僕の評論で書いてきたことを少しだけ振り返った上で、7巻の話をしていこう。
3巻の評論で僕はこんなことを書いている。

Q、「彼女(夜空)にとって部活が【愛の巣】なら、目的は達成されないの?」
A、されない。というよりもむしろ、されると困る。(出典・ラノベ評論はがない3巻

夜空は小鷹のために部活をつくり、小鷹は当初記憶がなかったのだから、部の活動目的を本気にしてきた。…悪く言えば、「騙してきた」のだ。…それは小鷹だけじゃなくて、全員を騙してきた。夜空自身それで自分が部の女の子達から何を言われようが別に良かった。全部は小鷹のためだったし、小鷹が退部しない限りは常に一緒にいられた。

だけど、夜空には致命的なジレンマがあることに理科の入部以降気づき始める。それは過去には「友達」でいたが、自分は成長期の女性であることから「男女の友情何かありえない」という理科の発言が尾を引くことになる。男を演じたいというか…男になりたいというか…そういう願望に近いものが彼女の中でできるようになってくる。夜空が際立ってエロいものがダメな理由はそういうのが平気であることは矛盾してしまう。小鷹に性的に愛されたら10年来の自分の願望が崩壊しちゃう。


理科が5巻でゲームをやらせた理由へとつながっていくのだが、理科が小鷹・夜空の昔話を知るのは6巻の冒頭なので、理科は漠然と「恋仲もいいですよ」とか「可愛いって思われるっていう事もいいじゃないですか」という意味合いであのゲームをやらせるところへ行く。

小鷹や自分に向けられるまっすぐな行動に対して夜空は理科に
志熊理科…哀れな奴…いや、むしろ羨むべきなのか…?」
という言葉を向けている。


7巻がそういう流れの延長戦に答えを出すための作品であることを踏まえれば、読み解き方が出てくると思う。

変革者は理科であることは2巻以降ずっとそうだが、…肉や幸村に対して「女性として」賛美する小鷹を見て夜空が本格的に揺らいでくる。理科が小鷹をどう思っているかという解釈はいろいろできると思うから僕からは何も言わないけど、重要なのは「理科と夜空」の相互関係だと思う。

最も小鷹を動かせる夜空と、最も行動でき、人を理解できる理科。
理科だけは友達がいないのは自分のコミュ障のせいよりも特殊な環境ゆえというか…特待生だからいないだけで、作ろうと思えば作れる。(現に小鷹と偶然会っただけでズカズカと部室に乗り込んでいって…というキャラなわけだし。)

一人きりでさみしいという人種でもない。…だから理科は強いんだろうね。

僕が予想する8巻はそうなんじゃないかな?理科が強いから夜空を動かし、夜空がどう決断するかで理科の行動が決まってくる。…小鷹も重要だけど、7巻で全部に答えた。

全部だよ。1つも残ってない。


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うん、とりあえずここでラノベ評論『僕は友達が少ない』シリーズは終わり。今まで通して読んできた人がいれば、是非コメントを下さい。