読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

かくいう私も青二才でね

知ってるか?30まで青二才でいると魔法が使えるようになるんだぜ?

アニメ評論、【神様のメモ帳】part4-10、11話


コードギアスみたいに終盤になれば面白くなる」と少しでも信じた自分の愚かしさが悔やまれてならないと今日このごろ思いながら、神様のメモ帳を見ています。しかし、見ていて勉強になったシーンもあるので、反面教師的にこのアニメの失敗の話をしていきたいと思っています

今日は僕も原作を読んで知っているところをやるので、心を鬼…いや、修羅にしてやっていきたいと思います。アニメ評論書き始めて最も厳しいことを言います。昔、Angel Beats!みてエロゲー界の天下人である【麻枝】さんに『余計な欲に走らず、音楽だけつくるmachineになったほうがいい。あなたが脚本を書く事はすべてのライターを侮辱する。』と言ったことがあるけど、それの3倍ひどいこと言います。(我慢の限界をゆうに超えました。30分×11話+一時間を返して欲しい。いや、評論観るために全部2回づつ見ているから)

本日の内容

  1. つじつまが合わない脚本・シリーズ構成
  2. 細かいところも・細かくないところも手が届かない絵コンテ・作画
  3. テーマ性もいともなくサラリーマン的に監督を作る監督
  • この脚本家は原作者とファンの前で指を詰めたほうがいい。

原作ファン待望のエンジェルフィックス編がラストを飾るという事で、私も原作ファンもワクワクして10話を見たことだと思います。*1

原作・神様のメモ帳の良さというのはキャラのリアリティーです。特に、テツ・彩香・鳴海の3名は実在するモデルの姿を感じ取れるほどに、キャラクターが緻密に設定されている。*2
話の中身については共感しない部分もあるが、『ライトノベルにリアリティーを持ち込んだ』という原作者【杉井光】先生の功績は認めたい。

しかし、アニメでエンジェルフィックス編をやる際にはこれが全部潰れた。
その前から【アリスに萌えるアニメ】として作ってきたシリーズ構成が完全に失敗で、ところどころ面白い話もあるが、全体としては9割方つまらない話になってる。
10話以降エンジェルフィックス編は原作では鳴海と彩香の心理描写を綺麗に描かれていた部分が圧縮されてしまい、キャラの心理をつかんで居れば感動するシーンや、伏線が回収される読者が楽しんで読むシーンがなくなってしまった。

ただ、現象を追いかけていっただけ。

原作を読んでない人のために日本史に例えると年表と出来事が系譜として流れていくだけで、それがどうして起こったかという背景がないという感じだ。順番に世界恐慌満州事変日中戦争第三帝国のポーランド侵攻・太平洋戦争と順番に羅列しただけで歴史を覚える子供がいたら怖いわ!!
神様のメモ帳原作では「鳴海がギャンブルに大金持ちしたから、テツは鳴海にボクシングをおしえるぐらいの貸しがあり、鳴海はテツにボクシングを教わるきっかけはその前にボクシングがすごい強いことを聞いていたから(アニメ何話も前にやっていることが、感覚が空きすぎて訳が分からんようになってる。)」という系譜があるが、これがしっかりと道をたどっていないため唐突に写って仕方がない。

10話で鳴海が絢香に対して「僕ってお兄さんの代わりなの」と問う一連の流れがあるが、これは脚本を圧縮するために変えたシーン。神様のメモ帳の脚本家メンバーの中では最も力量がある「綾奈ゆにこ」さんが書き上げたシーンだけありこの話は違和感が少なかった。(実際、綾奈ゆにこさんが脚本の話は5〜8話と10話であるが、8話を除いて魅せ方が非常に面白いアニメになっていてアニメシリーズの中で質が安定していた事はこの場で述べておきたい。)

逆に一番ひどい脚本家が2,3、9、11話を担当した「伊神貴世」さんだ。元々が推理作家さんだ。この人の小説を読んでいないから作家としての発想力は知らないが、脚本家としての技量は神様のメモ帳を酷いアニメだと位置づけた戦犯的存在と言える。(つまらないと不評の回を1話以外すべて担当したのはこの人だから…)伊神貴世さんは早稲田の第一文学部を出て作家になったらしいが、「早稲田では日本語を教えないのか?」と揶揄したくなるほどにこの作家は要約が下手ですし、自分で足りないと思ったところ、つじつまが合わないところも書き換えられていない。アニメと尺が違う、シリーズ構成の都合上、原作と話が違う以上は脚本は当然書き換えないといけないのだが、そうなっていない。

原作にも文句はあるが、つじつまが合わない・キャラの成長なども連続して描かれない・心理描写も綺麗に書かれることなくあらすじだけをパクられた作者はキレていい!!少なくともアニメよりは原作が面白いことは私も保証する。

  • 動かせないなら絵コンテに書くな!!

このアニメを視聴して学んだことは「絵コンテはマネジメントなんだ」と言うこと。

アニメーターは出来高制のところが多いので、低予算のアニメでは自ずと作画枚数が限られる。
だから、すごくいい原画マンが集結したとしても、それに見合った演出がないといけない。(故に自分で大量の原画を書き上げる松本憲生のような人は制作泣かせだと言われる。)
ジブリ押井守作品などのアニメ映画では潤沢な予算があるため、水の一滴やスカートの動き、飛行機が大破する瞬間の破片までアニメの中で忠実に再現されている。「萌えアニメ」であったとしても枚数が多いと【涼宮ハルヒの消失】の様に細かいシーンが動く。枚数を重ねて、なめらかな動きでゆっくりと動かす事が可能になることで演出の幅が広がる。

神様のメモ帳」の大きな失敗の一つが「アニメとして失敗」しているということ。
絵描きというのは洞察力がすごく高い。絵かきの友人を一人でも作ってもらうとよくわかるが、絵の書き方を逐一おかしいと指摘する。全体のバランスを見て「手は広げれば、顔を覆うぐらいの大きさがあるのに、これは小さい」とか「こいつは胴長すぎる」と言ったことを言われる。
宮崎駿クラスになると、アニメーターに対して「こんな開き方で鳥は飛びません」と原画を突き返した所が崖の上のポニョの制作ドキュメンタリーで見られる。感情が伝わるようにわざと質感を強調して絵を歪ませることもできる。

私は「夏コミの戦利品」の画集を妹に見せたときにそういう事を言われてこう思った。
「私が文章書くときに「どうしたら頭に入りやすいか」考えるように、絵かきもまた【どうすれば違和感なく絵を受け入れるか】を考えている。」

しかし、神様のメモ帳はそういったところが全く考慮されていない。典型的な例を3つ挙げます。
まずは9話の野球シーンですが、野球選手が見れば、投手が投げる前に腕を後ろに持ってくる動作をあのように小さくすることは速球型の投手ではまずありえません。伝説の遅球使いである元オリックスの星野投手の投げ方なのですが、彼の最高速度は現役中でも132キロぐらいです。ブランクが30年あってもバットを折るほどの剛球を投げる以上フォームが気になるのですが、肩を使っていない女の子投げです。(女の子があのフォームで投げるとボールが山なりになってひょろひょろのボールが帰ってきて可愛いですよ。)
バットについてもちゃんともち方があって、鳴海がホームランを売ったときにバットの手を上下を逆に瞬間的に持ち替えているのです。(原・動画チェックしたり、全体を見直す光景がアフレコ中でもなんでもあったはずなのに全く修正されていないのです。)

2つ目は10話の園芸部のシーン。花に水をやるシーンなのですが、花が水を弾かず、花の前に一枚の板ガラスがあってそこに水を書けているようなカットになっている。
花が水をやっているのにぴくりとも動かないのですし、水が花についたときの流れも書かない。
海外に安いコストで回すなら、後ろから花を書かずに鳴海と彩香を描くこともできましたし、水やりのシーンだと強調したいなら水の流れだけを書けばいいのに、借り暮らしのアリエッティなんかで出てきてもおかしくないような難しいカットをコンテで書いてしまったがためにすごく違和感になった。

3つ目は11話のテツがボクシングを教えるシーンだが、原作では鳴海が殴りやすいようにグローブみたいなヤツをはめている。グローブしないで手のひらを全力で殴れなんて言ったら、常識的には当てにくくて、的になる方の指が突き指します。(バキやキン肉マンに出てくる人達でない限りあんな危ない受身はできませんよ。手にパンチするつもりが腕やら腹やらに当てられたらたまったもんじゃない!)

正直なところ1話から絵コンテが変なので、戦犯は絵コンテと作画監督全員です。原画・動画は全体を見られないので、むしろ被害者です。枚数も使えないのに表現できないものをかかされるんですからね。

  • サラリーマン的にアニメ作られたら、アニメーターも視聴者も迷惑です。

強い言い方をさせてもらえば、JCSTAFFと監督は原作者とアニメーターの前で焼き土下座で詫びるべきです。(つまり、「未来永劫顔見世できないようなブサイク顔になって病院で寝てろ」って言いたい。)

数こなせばいいっていう作品やるんだったら、オリジナルか玩具メーカーの宣伝用にやれよ!!JCさんよ!前例はいくらでもあるだろ?ブシロード、コナミ、バンダイなど色々あるだろう!

原作者にとってはちゃんと作品の面白さをアピールしたアニメ化をやってもらわないといい営業妨害だよ。

アニメーターだってちゃんとした企画で・海外に回さなくても自分たちのところにお金が入ってくるような仕事をもらえないなら短期のバイトしながら、流行りものの同人誌書いていたほうがずっと生活できる。(※学生の俺でも短期バイトで21万稼いだことがある。)
中長期的にを食わせる事ができないなら昔のジブリみたいに企画が終わったら解散する団体になったほうがいい。大きなアニメ会社は人材紹介とアニメの機材貸しに専念したほうがいい。作りたいけど金がないヤツはいっぱいいるんだから、そういう奴の手助けしたほうがいい。

サラリーマン的にアニメ作らされて、ろくに面白くないならこっちが迷惑だよ!
広告代理店側もテレビ側で吉本芸人か韓国ドラマ流しておいたほうが自局の利益になるんだから…。

アニメはネットで流しても見るのですからレコード会社と出版社とスポンサーを適当に見繕ってネットで流したほうがいい。(現に深夜アニメ何かほとんどレコード会社と出版社のCMしか流れていないのだから、理論上不可能ではないし、現実にネットで放送するアニメの収益モデルは出来てきている。)

神様のメモ帳は作品の不安定さ故にいろいろなことを考えさせられました。
・アニメの産業構造が良くないのでは?
・サラリーマン的に作品の企画を善し悪し問わず書いていれば食べられるアニメ監督、アニメ監督になるとほとんど演出・コンテ・監督と行った高収入なポジションばかりできる年功序列の構造
・海外に回すためにわざと絵コンテの質を落とさないいけない現実、
・アニメを作っても儲からないのにマネジメントとしてアニメ制作やコンテンツを運用・企画できる人がアニメの会社の中にいないと感じる事

こういう現状を変える企業が生まれるビジネスチャンスがあると同時に、アニメ会社がこのままでは本当にいいアニメを作れなくなるという危機感を感じますね。

備考・その他の神様のメモ帳に関する記事
原作評論
http://d.hatena.ne.jp/TM2501/20110725/1311586616
評論①・一話パート
http://d.hatena.ne.jp/TM2501/20110717/1310900229
評論②・4話パート
http://d.hatena.ne.jp/TM2501/20110806/1312620829
評論③6〜9話パート
http://d.hatena.ne.jp/TM2501/20110904/1315148261

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
本日のバナーですか?なんか人形を選択する回にこいつみたいなヤツが出てきたので…

神様のメモ帳

神様のメモ帳
著者:杉井光
価格:641円(税込、送料込)


多くの原作ファンは「こうじゃない!」と擁護するほど原作が愛されているので原作をよかったら一読してみてください。私は45点ぐらいしか出さなかったのですが、アニメのダメっぷりを知る上では大いに役に立ちますし、文字の書き方についてこの原作はある一定の指針を示してくれるので読む価値はあると思います。

*1:そもそも、1巻が神回だった事を知ったときは原作者の力量を疑ったけど、最近のラノベの中では入り組んでいる上に重たいテーマも扱う良作であることは(釈然としない部分も多いが)一応認めておく。

*2:ラノベというとどうも、テンプレートでキャラを作って、暴力系ツンデレとダンデレとなぜかモテる主人公が…というエヴァの影響で作られた伝統的な規格の下で作品が展開するケースが多いが、神メモはその部分ではキャラ構成が非常に新鮮になっている。