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かくいう私も青二才でね

知ってるか?30まで青二才でいると魔法が使えるようになるんだぜ?

夏休みはアニメ見やがれ!!アニメ評論『狼と香辛料』(前編)


今日・明日からはお盆休みに入ってくる一般企業の人が増えておりますので、私から『推薦図書』ならぬ『推薦アニメ』を一つ紹介させていただこうと思い、久々に好きなアニメを1話から吟味し直して、評論をしていきたいと思います。

ちなみに、私が推薦する【中上級】アニメの一覧はこちらです。
オススメアニメ集(神アニメ編
おすすめアニメ集(萌えアニメ編

どれもアニメファンの中で名作と語られる代物ですので、見たことがない作品は是非ごらんあれ。ちなみに、リンクに載せきらなかったモノを神アニメ編について、いくつか注釈に追加させていただきます。*1

  • 事のきっかけ

この評論をやろうと決めた動機が2つあるのでお話します。
1、自分のアニメに対する評論がほとんどネガティブな物しかなかったので、いいアニメを良いとじっくり語ってみたいと思いこの企画をすることにしました。
現在放送中の【神様のメモ帳】に関する評論を書いた時に【これはいいけど、あれが悪すぎるからとても評価できない】という立場でしたが、今回は【確かに作画にムラがある低予算アニメだが、すごくいいから是非見て欲しい】という立場でアニメを評論します。
2、ニコニコアニメ夜話のパーソナリティーにして日本一硬派なアニメオタクを自称する古谷経衡氏反論がしたくてこれをやることにしました。
というのも、彼ほど影響力のアニメオタクが【らき☆すた】と【けいおん!】だけ萌えアニメにするような論調を用いながら【萌えから燃えの時代へ】と言っている所いくつかの彼の放送やブログの記事を見させてもらいました。これは自身がブログの指針を示す記事においても明言されておられます。しかし、彼の言う【真に普遍的な価値観と製作者の芸術家的良心に貫かれた『良質なアニメ』】は萌えの中でも実現できます!!念のため、彼のブログに検索をかけたのですが、この作品に関する特集がなかったので、【萌え語るならこのアニメを見ようぜ】と言う提言・抵抗のために書かせていただきます。*2

  • 作品概要

まずは原作ですが…電撃文庫から出ているライトノベルです。

狼と香辛料 (電撃文庫)

狼と香辛料 (電撃文庫)

いい意味で【ライトノベル】です。【ライトノベル】というと最近では『ティーンズ向けの萌え萌え小説』というイメージが強いのですが、5〜10年位前のライトノベルというのは文字通りの意味で『ライトなノベル』でした。
小説には様々なジャンルがあります。『SF』『ファンタジー』『時代劇』『恋愛』『ミステリー』などぞれぞれのジャンルをライトノベルはキャラクター性を強くし、中身をわかりやすくしてそのジャンルの入門者にも読みやすい作品にしてきました。よくわからない人は最近人気の『もし女子大生が経営者になったら』とか『もしドラ』が…の走りだと思ってもらえれば結構です。

では、この作品は何をわかり易くしたか?それは『経済小説』と『ファンタジー』です。
簡単なあらすじと見どころ
行商人のロレンスという男がいて、ホロという狼の化身の姿をした豊作の神様と旅をするお話です。行商人の商売を見ながらホロがある時は初心者の様に商売の仕組みを聞き、ある時はホロが年の功で知っている心理戦を披露します

ユーモアあふれてテンポの良い台詞回し、研究がなされた設定や世界観がこの作品の魅力です。つい最近17巻まである全編が完結したので、地道に読んでいってはいかがでしょうか?

  • アニメ評論(〜7話まで)

アニメのシナリオは極めて原作に忠実でしたので、アニメ化された2巻までのパートのうち1巻分を今日は評論・解説をしていきたいと思います。

ポイントは3つです。

  1. この作品は3.11の後の今だからこそ見て欲しい。
  2. 低予算だが、温かみと質感があるアニメ作り。
  3. 真の『萌え』とはこういうものだ!

※見ていない人の事を考えて可能な限りネタバレは避けますが、説明のためにやむを得ず『こういうシーンがある』というお話があることはご了承ください。

☆作品のテーマ性について
小学生でもわかることですが、『農法』だの『科学技術』がなかった時代は農業は神頼みでした。そのため、神様への祈りは貴重な行事であり八百万の神様が祀られました。

なぜこの話をするかといいますと、『狼の化身』ホロは村に語り継がれる豊作の神様なのです。しかし、その神様への尊敬が形骸的になってしまった事から旅に出ることにしました。表面では収穫祭を開き、伝統的な祭りを行う一方、不作への陰口を叩かれる憎まれた存在になりました。(何で、神様が不作を起こすかという理由はアニメに譲ります)
その一方で、狼と香辛料には『教会』という宗教団体が出てきます。唯一絶対の神様を信仰する事を人々に強いて来て、土着の信仰を異教徒と扱う団体です。

何が言いたいかといいますと、この作品のテーマ性の1つに『人間の傲慢さ、愚かさ』と言うものがよく描かれているところがたくさんあるのです。
・神様なんていない。いたとしても気まぐれで尊敬に値しない。
・科学があれば自然はなんとかできる。そして、進歩した科学はは神をも超える。
・人が取り決めた論理やルールは万能であり、それを超えることはなにものもできない。

と言った考え方は3.11以前の多くの日本人の頭の中にあったのではないでしょうか。しかし、現実はホロのセリフを借りれば
「自然はだれかが作れるようなものではありんせん。」
と言った事を3.11以降少しは認識するようになってきたのではないでしょうか?ホロはそう言った不確定要素(自然や神)を象徴したキャラクターである事がこの作品の新鮮なところです。
『恐怖ではなくその未確定要素を信じ、その可能性を思う人間には時に幸福をもたらす。』
これこそ本来の神様・偶然・天命の正体ではないでしょうか?

魔法少女まどか☆マギカ】の『ワルプルギスの夜を3.11の今の時期にあった存在だと言う人がいますが、私はその解釈には反対だ。津波も、地震も、原発も傲慢さ故の慢心がなければ脅威ではあれ、乗り越えることはできるのに、そう言った努力による勝利が描かれていない時点でワルプルギスの夜は神様としての・論理的でない偶然の正体を表現しきれていない。ルールという人の傲慢さの上に居座り続けるから事故が起こり、復興も進まないだけなのに、それを被災地に足を運ばない人間が立ち向かうことなく恐怖を口にして【神の力で、神は恐怖だ】という言い方をするのは本当にやめて欲しい。

ホロというのはその点でしっぽと耳の生えた美少女であり、独特の愛らしい口調で、女好きが口説きたくなるようなキャラクターだ。いわゆる、萌えキャラだ。神様ならではの恐怖も与えられるが、それだけじゃない。パートナーのロレンスには利益を、その友人達には気さくで愛らしい美人との会話を提供している所で彼女が本当の意味で偶然や神様の気まぐれらしいではないですか。…口説きたくなる美人がお店に訪れて、自分とデレデレと甘いやりとりをしてくれる確率なんかなんの学問でも計算できませんよ。だから、幸運な偶然であり…神様のお導きです。

☆細部にこそアニメ作りの実力があり!
低予算アニメだなぁ…と想う所以として作画にすごーくムラがあります。キャラの顔や動きが変なシーンが多いのです。特にモブキャラや脇役の質は格段に落ちる。(背景とかモノはほとんど質が落ちないのですけど…)

しかし、重要なシーンでは影や質感などの表現力が素晴らしい。
例えば、商業の話ということで握手のシーンが多いのですが、この時に男女の握手の時はちゃんと手の色や大きさを変えて質感を表現している。
例えば、コマ割りのうまさ。わざと激昂している人物を映さないことで【あいつどんな顔してるんだろう】と次のシーンに期待させるシーンや、逐一コマが移す場所を変えることで緊迫感をより強く出したりというシーンがすごくいい。
例えば、影の使い方。シーンの切り目と切り目の間にわざと影が多いシーンを入れて、時間がゆっくり流れているシーンと重要な台詞が多い早く展開するシーンがうまく別れている。

回り込んだり、大掛かりなCG、ヌルヌルと動き回るアクションシーンが出てくるなどといった派手で金のかかりそうな事ことはほとんどないのです。しかし、【魅せるアニメ】として細部の表現が素晴らしい作品です。アニメの奥深さ、演出の必要性、アニメーターの創意工夫に感心させられます。

☆萌えの正体
もし、ニーソとスカートの間の絶対領域・見えそうで見えない鉄壁スカート・スクール水着を来た女子高生を【萌え】と呼ぶ人がいるなら今すぐ持っているアニメを焼いてオタクをやめてください。いや、アニメのアの字も語らないで欲しい。

私は自分のブログで【萌え】について再三語ってきました。京アニ作品『日常』を評論した際に私は萌えとかわいいの違いを根気強く説明しましたが、ここでももう一度言わせてください。
『萌えとは【愛でたい】という願望が湧く感動であり、一目惚れではいけない。それだったらただ可愛いだけで、その人がそれをやるから【そのシーンを、そのキャラを愛でたい】と思うシーンが提示できないのであればそれは萌えとは呼べない。ただ可愛いだけだ。キャラを愛でるだけの理由付けができるシーン・性格を知っていないと【萌えた】とは言わないのだ。』

最近聞かなくなったが、【ギャップ萌え】という言葉がある。そのキャラの正確からやらなそうなことをさせてかわいい事や、そのキャラの意外な一面に感じるギャップに対して萌えるということなのです。
これは男でも良くて、不良の喧嘩好きの兄ちゃんが刺繍の名人でテディーベア作りが趣味だとしたら可愛いと思いませんか?
プライドの高い女の子の【ごめんなさい】って言ったあとの【謝ったんだからいいでしょ】と強気な口調ですごく弱気な『精一杯謝ったのだから許してください』という態度ってなんか可愛いと思いませんか?
逆でもいいです。普段内気で無口で話しづらい女の子が急に自分の趣味で得意気になると『ああ、思ったより普通なところもあるんだ』と安心するというか、愛情の対象になるという気持ちを覚えませんか?

狼と香辛料はそう言った理由付けがうまい。
お互いがお互いの弱点や手の内を知り合い、さぐり合いながら会話するため、可愛いのです。

ホロの魅力というのは商談やピンチに『私は神だからどんなピンチも大丈夫』という余裕を持ちながらも、食い意地が強く、食べ物の前では感情を押し殺すことができない。あるいは打たれ弱くて、落ち込むと普段の年上キャラから急に甘え系になる。

キャラクターにズレた部分を作って『萌える』『そういうところが好きだ』と思わせるところがうまい。神様を名乗っていることが読者・視聴者を『意外だ』となおさらに思わせることができる。
キャラクターについてそう言った計算の上で台詞や心理描写がなされているところが、派手な動きもなく、剣も魔法もないファンタジーの面白いところです。(続く)

次回
明日の朝頃に後編の評論を書いていきたいと思います。これもネタバレは少なめの方針で。


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*1:推薦アニメ(リンクに載ってない作品)…カウボーイビバップ攻殻機動隊(テレビ、映画両方ともオススメ)、スカイクロラ老人Zトップをねらえ王立宇宙軍オネアミスの翼鋼の錬金術師、劇場版クレヨンしんちゃん(だいたいどれを見ても面白いけど、個人的には【暗黒タマタマ大追跡】と【オトナ帝国の逆襲】と【栄光の焼肉ロード】がオススメ)、コードギアス、サムライチャンプル…この辺ですね。

*2:古谷氏への評価について勘違いして欲しくないのは、私は彼と同様に【押井守】ファンであります。また、かわいいとかエロとかでだけで評価するアニオタ(萌え豚)とは一線を画しているスタンスは彼に近いものがあります。また、チャンネル桜出演者である彼の政治的な発言にも目を通さしてもらいましたが、政治的なスタンスも近いです。彼の言葉で言えば【若者による新しい中道を目指す】という所はネットの多くの人が共感出来るのではないでしょうか?右翼呼ばわりされたり、政治・歴史認識がテレビ報道や学校教育と異なる事で批判される方々の多くは戦争を望んでいるわけでもなく、嘘や捏造された歴史観・政治観を一層した上で正しい政策をしようと言うことを考えた上での意思表示をしているのではないでしょうか?