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かくいう私も青二才でね

知ってるか?30まで青二才でいると魔法が使えるようになるんだぜ?

討論風短編小説【魔法使いの椿ちゃん】


昨日気づいたことですが、ブログのPV(ページビュー)が半年で30000まで行きました。

その記念…という予定ではなかったのですが、魔法モノの短編小説を簡単ながら書かせていただきました。(本来はブログ村の短編小説のトーナメントに出場したくて書いたものですが、タイミングとしては記念企画という感じになってしまいました。)

魔法モノは初めてなので、感想・リクエストなどを残していただけると嬉しく思います。

  • 以下、本編

背が高く、長く髪を垂らし、冷えきった目付きがチャームポイントの生真面目な魔女【白瀬椿】は朝から最悪の気分だった。
体調は悪いわ、通学中に痴漢に合うわ、普通の子に魔女だとバレて問い詰められるわでひどい気分だった。
『つばきちゃんが光の大きなワッカを作っていたのを私見たよ。』
黒川マリアというチビくてお団子ヘアー、クリッとした綺麗な透き通った目がチャームポイントのやかましい女が私に絡んでくる。魔女だとバレると見世物のようにされるので、それを嫌がって話をすり替える。
椿『とりあえず≪ちゃん≫はやめろ!私はそんなキャラじゃない。お前に≪二等兵≫って呼ぶぐらい変だ。』
黒川『二等兵いい!なんか男らしくていい!今度から私のことは≪マリア二等兵≫と呼んでくれたまえ。』
椿『図が高い二等兵だなぁ…。頼むから戻って本でも読んでいてくれないかい?』
黒川『小生は椿少佐の謎を解いてから席にもどるであります!』
…やりづらそうに、読んでいた本を置いて椿は言う。
椿『謎なんかない。遠くから見た何かの錯覚だろう。私はそんなものは知らん。記憶にない。』
黒川『国会議員が自身の献金問題を追求された時の答弁みたい。』
椿『それ女子高生の台詞にしては渋すぎるぞ。あなた、クラスから変わり者の部類で仕分けされてるだろ?』
黒川『いえいえ、少佐ほどではございません。魔女より変わっているだなんてそんな。』
椿『いい加減、子供のサンタクロース信仰から離れたらどうだね?二等兵君。』
という感じに噛み合っているのかどうかも怪しい会話が二人で続けられた。

…という話を放課後の西洋史研究同好会の部室で短髪な赤毛と鼻の高さがチャームポイントの紅井樂は聞かされていた。
樂『そんで、今日のことばらしてないだろうなぁ?』
椿『当然でしょ。定期報告をしないといろいろ大変ですもの。』
西洋史研究同好会というのは椿が生真面目に『魔法研究会』という名前で教室を借りようとしたときに俺が慌てて『直球表現はダメだろ!もう少しぼかすんだよ…歴史研究会。それも西洋史研究会。』といって強引に名付けた部活ですが、実態は魔法を使う部活。俺達魔法使いは高校生・大学生の間は外で魔法を使う仕事をつうじて魔法を覚えていくため、街で魔法を使った仕事を請け負う事がよくある。
樂『…じゃあ、お願いします。』
椿『あ〜体調悪いのに!もう少しレベルの高い人と組みたかったわ』
いつものイヤミを言ってきた彼女だが、二人一組で行動する魔法使いの世界でグループを作るときに【余りもの】になってしまったのは彼女だって同じだ。
樂『それなら自分の人徳のなさを悔いるんだね。体調が悪いって?』
椿『高性能な性別には色々と不具合とメンテナンスがつきものなの。』
樂『はいはい。どうせ可愛くもないし、図体がでかいだけのサルですよ。』
椿『私もサルになりたいわ。毎日長い髪をとかしたり、洗ったりするのは面倒なのよ。』
樂『サルも大変だぜ。どこに行ってもボスになることしか考えないうるさいサルがいるからな。』
椿『女だって大変よ。美人かブサイクかで周囲の扱いが違うし、サルよりも変わり者を除外する空気が強いもの。』

とりとめのない会話をしながら、彼女がいつもの手順通り部屋の鏡を使って、別の場所とこの部屋をつなぐ。鏡の向こうから魔法使いのための仕事が書かれた紙が歩いてくるのだが…

(ガタッ)
ここで、掃除道具が音を立てた。
椿『手が離せないから見て!』
樂『…いつもの【神隠しの魔法】やってないのかよ。』
椿『やったわよ!でも、気になるから開けて。』

案の定扉を開けるとマリア二等兵の姿が
黒川『あ、お邪魔しています!どうぞ、お構いなく。』
樂・椿『いや、帰れよ!』

…ガミガミ言いたいところだが、紙の魔法は生き物の形に折られた紙が行進するというものであるため、怒鳴ったり・雷が落ちたりすると逃げてしまう。だから紙が鏡の向こうから行進してきて再度集まるまで待ってないといけない。
樂『みてていいから静かにしてくれる』
というしかなかった。

(5分後)
紙の行進が終わったところで、樂が黒川に話しかける。
樂『二等兵!いつからこの中にいた。』
黒川『ホームルームが終わってからずっといました。二人とも掃除中だったでしょ?だから、椿ちゃんをリサーチしようと先回りしました。ハリコミは捜査と取材の基本です。』
椿『だから、≪椿ちゃん≫言うな!…それで?二等【兵】なのにハリコミ?巡査に変えたほうがいいかしら?』
黒川『警部がいいです。つばき署長!』
樂『プッ。』
と俺が笑うと椿が俺に向かって、光線を打ち付けた。彼女が得意とする光系の魔法の一つ【業火の光】で、壁の一部が焦げた。彼女なりに手加減をしているから焦げただけだが、もし本気で攻撃されたら壁と体に穴があくどころか、部室の裏を通る通行人の影すらも残らないだろう。
椿『二人とも記憶が消し飛ぶ魔法にかかって人生やり直すのと、お前ら両方ともが秘密を守る約束をするのとどっちがいい?』
樂・黒川『秘密です!今の人生に満足してるので、ご遠慮します。』
椿『よーし!いい子だ。』
椿はベコか犬にでも言うような口ぶりで俺達を褒めた…しかし、樂はどうしても気になることがあった。
樂『なんで、魔法使いなんか探してたの?やっぱり使って欲しい魔法とかがあるの?』
おそらく、彼女は椿が【円環の光】という魔法を昨日使った所を見たのだろう。これは輪を潜ると別の場所に移動したり、移動させたりできるものなので、彼女がすごくよく見ていないと椿がその魔法を使っていたことはわからない。椿だと気づいたということ、魔法だと気づいたということはこういうオカルトに興味があり、そういう専門家を探していたという推理になる。

黒川『惚れ薬を作ってもらいたいんです。好きな人がいます。』
樂『悪いが、彼女しか作れないなぁ。俺はイタズラ用の魔法しか使えない。【しゃべる粘液】とか【迷彩薬】とかそういうのしかだめ。心変わり系は高度な魔術だから、そこの彼女にどうぞ。』
椿『よし!ゾンビになっても、火葬をされてもお前を愛して飛んでくるような強烈な奴を作ったらいいんだな。お前の唾液しか飲まないぐらい忠実な愛情を薬で再現してやろう!』
黒川『いや、普通のでいいです。青春の一頁の甘酸っぱい恋みたいな奴でいいです。』
ああ、椿の地雷を踏んだな。

椿『惚れ薬使っておいて恋やら純愛だと?寝言を吐くな!恋ってのはそもそも相思相愛なモノでな…惚れ薬ってのは禁じるべき薬なのよ。≪魔法使いが恋のキューピットができないとだめ≫と言って大人は必須のスキルのように教えるが、私はこの魔法が大嫌いなんだ。』
樂『いや、誰だって寂しいことはあるから惚れ薬は要るだろ。男は寂しいもんなんだぜ?クリスマスとか、バレンタインとか卒業式でイケメンに大量に群がるイケメンを見かけると、粘着チョコをプレゼントしてやりたくなるほど憎たらしいんだ。』
【粘着チョコ】とはイタズラ系の魔法のひとつでチョコが喉にへばりついて離れなくなるという魔法だ。魔法使いは見破ることも【粘着チョコ】の弱点がコーヒーであることも知っているが、普通の人が食べると甘くてザラザラした不愉快な感じが丸一日残る。…話を戻そう。

黒川『女の子だってそうですよ。恋バナに参加したくて彼氏を作りたいって思うの普通の心理だと思います。』

椿大炎上!!
椿『樂!そんなに女にモテたいならもうちょっと頑張れ!魔法を悪用すれば【女たらしの種馬】になんぞいくらでもなれるからな!競走馬の晩年みたいに子沢山にでもなれば!』
…猿の次は馬ですか。しかし、椿がマリアに向けた言葉はもっと重い。
椿『マリア!あなたは本質をもう少し見なさい!人間の付き合いってのは予想外の部分があるから楽しいんだよ。人間の意思をある方向に洗脳する惚れ薬はその不確定要素を取り除くことなのよ。そんなんだから、お前は二等兵なんだ。』
…また始まったよ。椿は生真面目なヤツだから、友達が少ない。特に男からは友達が少ない。魔法の実力がピカイチだが自分のポリシーや規律を過剰なまでに貫く傾向があるから魔法使いでなくても考えが合わない奴には噛み付く。
樂『わかった。わかった。とりあえず、彼女を送ってくるからこの話はもう無しな。…黒川さん行こう。』
黒川『は、はい。』
俺たちは慌てて外に逃げた。
(ガラガラッピシャッ)
廊下に出た直後、黒川からこういう申し出があった。
黒川『あの、お話があるのですが、お時間いいですか?』
樂『いいよ。どうせ椿は書類読んでるからすぐ帰らなくていいし。』
(屋上)
樂『話って。』
黒川『紅井さんは惚れ薬どう思います。』
樂『さっき言ったとおり。寂しさを埋め合わせたり、こっちの都合で必要になった時だけOK。だからあまり強すぎるのは作ったらダメ。椿の言うように相手の体液しか飲まないぐらい狂った愛情を持った惚れ薬も作れてしまうから、魔法使いの中では反対して作りたがらない人もいる。』
実際、惚れ薬を強く作りすぎて事件に発展したケースはあるからつい強く言ってしまった。…黒川がシュンとした顔で目を背けた。二人っきりで沈黙されるのは非常に厄介なのでフォローに入る。
樂『お世辞とかじゃなくてさ、黒川は男ウケいいぞ?よっぽど倍率の高い人を狙わなければ、成功するって。惚れ薬なんてのはブスとか日頃の行いが悪い奴が見せる自信のなさだからいらないよ。普通にメルアド聞いてメール交換して、脈アリならそのまま告ればいい。それだけ。』
黒川『理屈はわかりますよ。でも…やっぱり怖いじゃないですか?振られたら関係が切れちゃうとか、いろんな噂を立てられたりとか…。』
樂『…勝ち戦しかやらない主義?それとも、相手が誰でもいいの?』
黒川『違います!相手がその人でありたいから失敗したくないんです。』
樂『じゃあ、椿の言うとおりだよ。惚れ薬をつかったら【従順なる別人】になるからおすすめしない。』

…やっぱりシュンとする。ただし、厄介事が好きな樂は
樂『ただし、俺だけで協力するよ。イタズラに魔法を使えるのはやっぱり楽しいからね。』
樂がケラケラ笑うのを見て彼女は満足したようで、肩の力を抜いた。
黒川『大丈夫です。なんか、迷いが晴れました。…すごく感覚的で口にしにくいのですけど、なんか楽になりました。…話はこれだけです。』

下駄箱まで彼女を送っていく時、二人とも無口だった。下駄箱についたところで、黒川がもう一回俺に話しかけた。
黒川『部室、また来てもいいですか?』
樂『活動を公表しないならどうぞ。』
黒川『では、明るい日にあいましょう!』
樂『眩しいのは苦手だなぁ…。』
こうして、魔法使いの二人と黒川マリアの生活が始まったのでした。

おしまい

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備考、演出と元ネタ説明と作品のコンセプト
読みたくない方のために注釈で書きますので、気になったものだけ注釈の番号をチェックして読んでいただけると幸いです。

・モデルになったキャラ*1

・演出について*2

作品のコンセプト*3

さいごまでありがとうございました。

*1:キャラのモデル、紅井樂→霧雨魔理沙(東方プロジェクト)のある同人誌。香霖堂魔理沙が頻繁に遊びに来るという子供の頃のストーリーを見て『魔法使いは魔力よりもイタズラの気持ちだ』って思ったのがきっかけ\白瀬椿→暁美ほむら。(魔法少女まどか☆マギカ)の5話位までのキャラ。孤高で違うものを見ている感じがそうなのだが、軽いなぁ…。\黒川マリア→古いクラスメイトの名前『○井マリア』って人から名前は拝借。性格は篠崎彩夏(神様のメモ帳)とみのりんとらドラ)が元ネタ。…どちらもストーリーとしては嫌いなアニメだけど、キャラだけは結構好きで、頭の中に残る感じが作品見たあとにある。\ストーリーの元ネタ→ゼロの使い魔です。ただ、作風の問題上僕はああいう風に軽くというか…ポップにというか…エロく書くのが好きじゃないから硬派にまとめました。

*2:2つあります。黒川の心情をブラックボックスにする演出をいくつかかけました。気づいてもらえると幸いです。もう一つは最後の『明るい日』は【明日】という意味と【椿が魔法を使う日】という意味の掛詞です。樂の『眩しいのは苦手』という対応した台詞も掛詞で、『人に見られているとイタズラがしにくい』っていう意味と、『椿にもう一回魔法で攻撃されるのはヤダ』という意味の掛詞です。

*3:3つあります。1つ目は惚れ薬っていうけど、あれは【洗脳】であって、実はたくさんの悪用があるから実在すると危険な薬なのではないか?2つ目は仲のいい腐れ縁みたいな三角関係ができそうなフラグを残して書くこと。椿の理解者が樂しかいない事、黒川が樂の話をしっかり聞き入れたこと、椿が黒川に対して話すときにボケ混じりに楽しく話していたことなどでそこを察してもらえると面白いかも。3つめは解釈が別れるエンドにすること。一つは考え尽くされた魔法使いの精神性と実際の魔法に憧れて、部室にくるようになったという黒川の心情。もう一つは…ご想像にお任せします。