元キーエンスの営業マンが書いた本で、営業マンが好きになった話

まだ読んでる途中の本なのですが…思ってたのと違う方に面白かったのと、想像以上に学ぶことが多すぎて
「このままじゃ、あふれ出しそうでヤバい!」
と思ったから、読んでる途中だけど、一度ブログに書かせてくれ!

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この本は、キーエンスの元ナンバーワン営業マンが、営業ノウハウ・体験を詰め込んで紹介してくれている本です。

高収益(営業利益54.1%)の企業で行われている営業が本になってるだけでもすごいよ!?
さらに、Kindle Unlimitedに登録している人は格安で読めるようにしてくれているから是非読んでみてほしい。

好きになったポイント1:「量が大事」の意味を説明してくれる

「営業マンは量が大事だ。とにかくやれ」
この2つは営業に関する本ならだいたい書いてあります。

なんなら、営業上がりの人もとりあえずこれを言いがちなのですが…
こんなことは言われなくても誰でも知っていることなのに、ドヤ顔で言いがちです。

量で解決できる営業もあるのでしょうから「ドヤ顔で言う人」が全部間違ってると言う気はありません。

しかし、著者の天野眞也さんは一味違います。
「具体的に何をして、量をこなしたか」
まで語ってミスリードを防いでくれます。

天野眞也さんはYou Tubeで無料の動画も公開してくれていて、そこでは
キーエンスは効率重視だから『買うか買わないかわからないのに、訪問します』というと先輩に怒られた
と動画の中で語ってくれています。

これけっこう大事でして…

天野さんが在籍した時代のキーエンスは、
「量は電話とカタログでこなし、訪問する時には見込みのある状態にしておく」
という手法を取っていました。

また、天野さん自身もペーペーでセールストークに自信がなかった頃に
「タイミングよく電話できたことが理由で、初めての契約を勝ち取れた」
という体験をしています。

「量をこなす営業」と言っても、人によって解釈が違う理由

皆さんは、このブログにどうやってアクセスしてきましたか?

わたくし、「三沢文也のX」をフォローしてくれているファンの方でしょうか?(いつもありがとうございます)
それとも、「検索エンジンで天野眞也さんの本、営業の本」について調べていた今すぐ営業の本が読みたい人でしょうか?

このように、同じ「インターネット」でもリーチする客層が違います。

 

私のファンであれば、「野球の話が好き」「漫画の紹介が好き」など営業に興味がない人もたくさんいます。
そのため、本来は営業の本を買わない「準顕在層」「潜在層」である可能性も高いです。

ところが、ぼくが4年間野球中継を見ながらオリックスの話をし続けるうちに、専門外の人で野球の話をしてくれるようになった人もいます。
そんなふうに興味がなかった人が「お前が面白いって言うなら…」と周知することで準顕在・潜在の人手に取ってくれる可能性を高めていくのも「量の営業」です。
営業する商材によっては、こちらを重視する人が多いです。

※野球の杉内俊哉選手は、所属していたソフトバンクとの交渉で「携帯電話会社と同じですよ。新規加入の人には優しくて既存の人はそのまま」という名言を残しているように、既存客が勝手にお店に来てくれる通信会社は新規の契約者を重視します。
ソフトバンクを知ってもらうためなら、野球チームまで買って、自分たちが営業している様子をガムシャラにアピールします。

 

一方、検索エンジンで調べている人は、明確に営業の本がほしいのですから「明確層」「顕在層」と呼べるでしょう。

天野さんの初めての契約は
「いいタイミングで電話したから買ってもらえた」
という「明確・顕在層」にリーチできたお話でした

キーエンスが売っているものは「センサー」などの工場用の部品です。
そのため、「誰でも買えるわけじゃない」し、「みんなが必要なわけじゃない」から、効率よく工場を持っていてお金があるところに売り込んでいかないとダメなのです。

また、効率よく利益をあげようと思ったら
「いかに、買う気・お金の両方が揃ってる人にいっぱいリーチするか」
を考えないといけないのです。

だから、キーエンスはカタログを送る相手も、訪問する相手も絞りながらも「そのカテゴリで一番目につく」という意味での量を取っていくスタイルです。(ここも詳しく載ってるから本を読んでみてね)
と同時に、既存のお客さんには、「取引先に営業マンのファンになってくれる人」ができるほどしっかり把握する(ほどお客様のところに行く「量」もこなす)のが天野眞也さんのスタイルだったそうです。

キーエンスの商材(法人営業の性質)と、効率重視のスタイルから逆算された
「効率のいい量の積み上げ方」
が読めることは、営業マンはもちろんのこと、ネットで自分の作ったものを見てもらいたい表現者の方が読んでもかなり面白いと思います。

好きになったポイント2:「話を聞け」で終わらない

営業マンやコミュニケーションの本では「話を聞け」といいますが…その定義は本によってまちまちです。

一般には
「目の前にいる人の言いたいことを、ちゃんと引き出してあげて」
「聞いていることが伝わるようなコミュニケーションの取り方をしなさい」
という内容が多いです。

ところが、この本は「何のために」を重視している本です。

キーエンスの場合は、扱ってる商品も高額な法人向けですから、いつでも誰もが買えるわけではないのです。
決裁権のある人物がいないと買ってもらえなかったり、商品がいつ買われるか想定できてないとどうしようもありません。

チョコレート工場ならバレンタインデーの冬に合わせるでしょう。
ビール工場なら熱くてビアガーデンがオープンする夏に合わせるでしょう。
でも、「アイス工場」はロッテの雪見だいふくみたいに【冬に売れるアイス】に特化してる場合もあるから、実際には聞いてみないとわからないのです。

消費者(エンドユーザー)でさえ『聞いてみないとわからない』モノが出てくるのですよ?
ましてや、生産する企業とお付き合いするキーエンスともあれば、綿密なリサーチが必要です。
自社製品を導入してもらうためにいつから話し合いをスタートしていいかリサーチしておかないと、ライバルに遅れを取ることになります。

そのため、企業の事情に精通した強いキーマンを抑えることが必要になります。
それが誰なのか、どんなパターンがあるのかも色々考えておかないといけないのは、法人営業ならではです。

つまり…法人営業は情報戦の側面が強いため、
「情報を制する者が契約を勝ち取る」
「情報を聞くために、足繁くお客様のもとを訪れる」
という量と聞くが必要なのです。

このように、「よく聞く言葉」を自分の業界ではどういう意味なのかをかなり具体的に解説してくれる本なので、
「あの人はこれが言いたかったのか」
「自分の仕事は営業じゃないと思ってたけど、営業的なスキルや取り組み方は使えるぞ!」
と色んな人を天野さんが持っているスキルと繋げてくれる素晴らしい本です。

 

よかったら手にとって見てください

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おまけ:営業マンが苦手だった理由と、天野さんには特別な感情を持てた理由

注意!
ここからはすご~く個人的なエピソード語りです。
書評とは全然関係ない「個人的なネガティブ感情がこの本によって払拭されてよかった」という話なので、毒々しい文章が嫌いな人は読まないでください。

 

「営業マンが好きになった」
とあるように、私は元々営業マンが嫌いでした。

嫌いだった理由は根深く、私の高校時代の教師にまでさかのぼります。
高校2年生という「頭ごなしに物を言う大人が憎くて仕方がない」時期に、
・口癖は絶対
・事あるごとに「民間企業で頑張った俺は他の教師とは違う」と鼻にかける
・親の転勤で不本意に転校し、クラスの輪に溶け込もうとしない俺に小言を言ってくる
という合わなすぎる先生が営業での実績を鼻にかけてきたことで、営業マン嫌いがスタートしました。

その後、
・社会人になってすぐに、レオパレス出身の男と、あわや殴り合いの喧嘩をするほど険悪になって、会社を辞めた後に鬱になる事態
・ベテラン営業マンの人に、2ヶ月間過呼吸や動悸が起き続けるほどのPTSDに追い込まれた(余罪もいっぱいあるが、とりあえず一番やばいのはPTSDなので、今日はこれだけ)
も経験しました。

インターネットでも営業マンのイメージは最悪です。

・光通信では灰皿で部下を殴ってた伝説(光通信はどうか知らんが、フミコフミオさんという営業マンブロガーの方は本当に遭遇したことがあるため、灰皿で殴る企業は実在することだけは確認済)
・電通では営業マンが上司から「革靴に入れたビールを飲まされるパワハラを受けた」と裁判沙汰に
・MR(製薬営業)が医者に媚びるために醜悪な接待をしている画像が流出

などなど、挙げたらキリのないほど悪事は山ほどあります。

金の為なら、裸踊りでも暴力でもする野蛮人のことでしょ!?
と割と真面目に思ってたので、営業マンのスキルをそもそも避けていた時期もありました。

しかし、あるきっかけで【悪魔の力を借りてでもお前らを倒す】と、いくつかの営業の本を手に取りました。

その1つが『シン・営業力』だったのですが…
「ふん、キーエンスなら申し分ない。が得られるだろう」
読む前の私はわりとこんな感じでした。

キーエンスもネットでは悪名高い企業です。

20代で1000万円超え、30代で家が建ち、40代で墓が建つ

という悪評が広がっていて、ブラック企業にはカテゴライズされませんが「モーレツ(≒野蛮そう)」なイメージはかなり強い企業です。

しかし、本を開けてみると…
「あれ?これ、聖典なのでは??」
と思うぐらいに、営業嫌いの私でも【これは色んな仕事に応用できるじゃん!】【今まで営業マンから言われた・鼻につくような罵倒や指摘がどんどん具体化されていくぞ】という素晴らしい書籍でした。

読んでる途中でもメモをする手が止まらない。
まだ読んでる途中なのに、自分が営業マン達から食らった呪いの数々を払拭してくれる。

…そう。

「悪魔」は「営業マン」なんていう最も多い職業ではなく、「悪い営業」に染まった連中だったのです。
・生存バイアスで自分が育った厳しい環境や根性論を美化する
・頭が悪すぎて、「当たり前」を押し付ける態度を取って見下す
・感情で合理性効率性を否定する人が、違う思想や専門で生きてきた人にわかったフリ、敬意を払うフリをする
こんなの営業マンに限らず、どんな職業だって嫌です。悪魔か天使か以前に、単純に嫌です。

そして…よくよく考えてみたら、キーエンスほど収益の高い企業が、「モーレツ」だけで回るわけがないのです

午前8時には出社し、午後9時半に帰宅するということは、1日の勤務時間が13時間以上となる。激務のように感じるが、複数の現役社員は「土日や連休にしっかり休めるから苦ではない」と語る。

キーエンスOBから入手した2013年度の営業カレンダー(記者撮影)

実際に営業カレンダーをみると年に2回程度の土曜日出社が求められるが、それ以外の土日祝日は休みで、ゴールデンウィーク中や8月、年末年始には10連休程度の休みがある。「外部が思っている以上に意外とホワイトですよ」(中部地方配属の20代の社員)。

「最近は働き方改革の流れもあるのか、(上司から)有休取得を勧められることもある」(前出の関東地方配属の20代社員)。残業も必ず午後9時半までやるわけではなく、「早く終われば午後7時くらいに帰っても何か言われるということもない」(30代の現役社員)。あるOBは「社外の人と話していると高い年収をもらっているのだから、ブラック企業なのだろうと固定観念を持つ人が多い」と勝手なイメージが先行しているとの感想を話す。

年収2100万円!「キーエンス社員」は激務なのか

ブラック企業というよりは「平日はガッツリ働け。土日と有給はドンドン休め!金なら出す」というメリハリの効いた会社みたいです。

 

アホな質問にもちゃんと向き合ってくれる優しくてユーモアまである企業ですよ。

 

本来なら1日13時間働くか、キーエンスOBを見つけないと聞けない
「世間の固定観念を超越して、なおかつ固定観念を持ってしまうような悪い営業マンから受けた嫌なイメージ」
を変えてくれたのが、この本です。

 

是非読んでほしい。
できたら営業マンがあんまり好きじゃない人、ダメ営業マンが語りがちな根性論にうんざりしてる人にこそ読んでほしい。

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そのために、この記事もできたらシェアしてほしいです。

 

※でも、あまりにも個人的な偏見から
「キーエンスの営業マンの本を読めば闇の力を手に入れられる」
とか思ってたアホな自分を天野眞也さんには見られたくないから、絶対に天野さんこの記事を送ったりしないでね…過去の自分を引き連れて土下座しに行けるなら土下座しに行きたいぐらい恥ずかしいもん…

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